猫の殺処分 犬の2倍 中農高生4人、現状訴え「命の授業」


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 2015年の猫の殺処分数は犬(1073匹)の約2倍で、2080匹に上った。譲渡や飼い主への返還数も犬(876匹)のおよそ5分の1にとどまり、186匹程度。犬よりも深刻な猫の殺処分の現状に、中部農林高校の女子生徒4人が「命の授業」と題して啓発活動を始める。県内の殺処分の現状と適正な飼育方法を紹介する内容で、各小中学校やイベント会場で授業する。「人と動物が共生できる社会になってほしい」と話し、準備を進めている。

「命の授業」作りを進める中部農林高3年の(左から)赤嶺美夢さん、嶺井葵子さん、金城麗奈さん、池宮美加利さん=11月21日、うるま市の県立中部農林高校

 同活動に取り組んでいるのは中部農林高校3年の嶺井葵子(きこ)さん(18)、池宮美加利(みかり)さん(17)、金城麗奈さん(17)、赤嶺美夢(みいむ)さん(18)の4人。4人はこれまで犬の殺処分については、同様の啓発活動を行ってきた。活動の中で猫の殺処分が深刻である現状を知り、さらに今年8月に同校教員が3匹の子猫を拾ってきたことがきっかけで、今回対策に乗り出した。

 4人は校内の全生徒を対象にアンケートを実施。去勢手術をしない状態で自由に出入りさせている飼い主が多い実態が明らかになった。嶺井さんは「無責任に飼うことで殺処分される命が増える」と指摘する。

 沖縄は他県に比べて気候が温暖で繁殖率が高く、病気も蔓延(まんえん)しやすい。池宮さんは「授業を通して飼い方を見直してもらいたい」と語った。

 彼女たちは現在、授業の準備を進めながら拾った3匹の猫の去勢手術代を集める募金活動も行っている。「1匹でも多くの命を助けたい」と話し、年内を目標に譲渡先を探している。