嘉手納基地で重大事故 クラスA、哨戒機破損 米軍「軽微な事案」


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「クラスA」の重大事故を起こした米軍P8哨戒機の同型機=21日午後2時半すぎ、嘉手納基地

 米海軍によると、米空軍嘉手納基地配備のP8哨戒機が19日、牽引(けんいん)装置が外れて機体に衝突し、破損する事故を起こした。米海軍安全センターは同事故を、最も重大な事故と位置付けられる「クラスA」と分類した。米海軍は「事故は小規模だ」とし、沖縄防衛局を通じて県と周辺自治体に事故翌日の20日午後6時ごろに通報した。

 米軍機を巡っては今月13日に米海兵隊普天間飛行場所属のオスプレイが名護市安部の浅瀬に墜落し、同じく最も重大な規模の「クラスA」事故と判定された。同日には別のオスプレイが普天間で胴体着陸を起こしている。また、9月には米本土所属の海兵隊AV8ハリアー戦闘機が本島東沖で墜落するなど、重大事故が相次いでいる。

 米海軍はP8哨戒機の事故について「基地内で牽引を伴う通常整備中、航空機の前輪部分と胴体下部に軽微な破損が生じた」としている。一方、米海軍安全センターは牽引装置が外れ、機体に衝突したことが原因と記録する。

 クラスA事故は200万ドル(約2億3500万円)相当の被害や航空機の損壊、死者が出るなどした場合に適用される。負傷者はおらず、米海軍は事故原因などを調査中。

 防衛局は20日午後5時に米軍から通報を受け、約1時間後に県と嘉手納町、沖縄市、北谷町にファクスや電子メールで事故を伝えたが、「牽引を伴う通常整備中、P8の前輪と胴体下部に小さな破損が生じた」「軽微な事案に対する調査が行われている」と、軽微な事故であるとしていた。

 琉球新報は21日、米海軍に「小規模」と説明する事故がクラスAに分類された理由を質問したが、米海軍は同日夕、「追加提供できる情報はない」と回答するにとどめた。

<用語>哨戒機
 潜水艦などの接近に備え、広範囲を哨戒(巡回)することを任務とした軍用機。特殊な通信機器などを備えている。拠点基地などの部隊と通信で情報交換しているほか、自らも対潜ミサイルを搭載し、潜水艦に直接攻撃を加える場合もある。嘉手納基地のP8哨戒機は従来のP3C対潜哨戒機の老朽化に伴い2014年から配備されている。同機種の米国外への配備は初めて。