くすのき通り、復活ピンチ 一時移植で生育不良に


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移植されているクスノキ。枯れた部分が目立つ=12日、中城村の中城城跡公園
拡幅工事が始まる前のくすのき通り

 【沖縄】沖縄市の胡屋十字路からコザ中学校付近までの通称「くすのき通り」(県道20号線)の拡幅工事に伴い、一時的に中城城跡公園へ移植されているクスノキの生育状況が悪く、通りに戻すことができない可能性が出てきている。地域住民から不安の声が上がる中、市も“緑のトンネル”の復活に向け、工事を管轄する県に対し復旧を要請している。

 拡幅工事は当初、2014年度に完了する予定だったが、依然用地取得が完了しておらず、現在は21年3月の完了見込みとなっている。道路を2車線から4車線に増やし、クスノキを通りの両側と中央分離帯に植栽する計画だ。

 クスノキは工事に着手した当時に59本を中城城跡公園に移植し、現在までに10本を通りに戻した。ただ公園に残る木についてはほとんど葉がなく、枯れている部分が目立つ。それぞれ7~8メートルほどで、3本の添え木がされている。

 中部土木事務所の担当者は「移植した木の生育状況は良くない。工事完了時に再度樹木を診断し、戻せるか判断する。できるだけ多く戻したい」と説明した。通りに残っているクスノキについても、胡屋十字路側に葉が多く付いている樹木が複数あるが、その他は葉が少ないのが現状だ。

 工事の開始とともに解散した胡屋くすの木通り会の最後の会長を務めた仲宗根重弘さん(74)は「今後は苗木からまた育てるしかないと思うが、なんとか元の姿に戻ってほしい」と要望した。

 市も市内のシンボル的存在だった通りの復活を望んでいる。19日に沖縄市議会定例会で宮里善伸建設部長が「緑のトンネルの再生を図る方針だ。今後も県に要請していく」と話した。桑江直哉市議への答弁。

 クスノキは1976年10月に着手した拡幅工事に伴い、77年3月に166本が植樹された。通りに癒やしを与え、地域住民から30年以上にわたり親しまれた。