琉球フィルがジュニア楽団結成 音楽で子に居場所


この記事を書いた人 新里 哲
講師の指導を受けながら「聖者の行進」を演奏する児童ら=那覇市松山の津波避難ビル

 歌うように楽しく、元気な音が重なって響き合う。琉球フィルハーモニック(琉球フィル)が、那覇市の若狭公民館地区や那覇中学校区の児童らを対象に子どもの居場所としてジュニアジャズオーケストラを結成した。楽団主催で居場所づくりをするのは県内で初めて。上原正弘代表理事は「楽器に触れる機会がないという子をなくしたい」と意気込む。

 事業は、県と県文化振興会の沖縄文化活性化・創造発信支援事業の一環。那覇市松山の津波避難ビルを拠点に、10月から始まった。団員は対象地区に呼び掛けて集まった小学1~6年までの30人。9割以上が「楽器に触れたことがない」という初心者だ。プロの演奏家6人のほか、楽器経験者がボランティアの講師として音の出し方や指使いなどを指導している。

 楽器は全て楽団がレンタルしており、児童らは無料で利用している。今後は楽器の寄付を募る。

 演奏するのは比較的音が出やすく楽器数も少ないジャズ。来年1月14日に北中城村のイオンライカムで開催予定の演奏会では、ジャズ風の「聖者の行進」と「安里屋ユンタ」を披露する。練習では小気味よいリズムで聖者の行進を奏でた。バリトンサックスを力強く吹いていた小山和子さん(11)は「いろんな音が重なると楽しい。きれいに間違いのないように演奏したい」とはにかみながら話した。

 子どもにオーケストラを経験させる、教育や文化的な側面を支援する取り組みは、ベルリンフィルハーモニーなど世界的にも取り組まれている。上原代表理事は「楽器演奏の経験は文化に対する理解を深めるだけでなく、必ず自己実現の力になる。若狭地区をモデルにほかの地域にも広がれば」と期待を込めた。

 楽団ではボランティアで講師をする楽器経験者と、ジャズオーケストラで使用する楽器の寄付を募集している。

 問い合わせは琉球フィルハーモニック事務局(電話)080(6483)2716。(田吹遥子)