「目標は白鵬関」美咲特支校小2・赤嶺君、高校生と稽古


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 大きな声と体がぶつかり合う音が響く、中部農林高校の相撲部。大柄な部員に交じって練習に励むのは美咲特別支援学校小学部2年の赤嶺悠真君(8)=うるま市=だ。1歳8カ月の頃、発達障がいの一種・自閉症スペクトラムと診断され、コミュニケーションなどに課題を抱えながらも大好きな相撲に取り組む赤嶺君。赤嶺君の周りにはいつも笑顔があふれている。

中部農林高校相撲部の部員と一緒に練習する赤嶺悠真君=25日、うるま市の中部農林高校

 4歳の頃にテレビで相撲を見て好きになった。最初は番付表や技を覚えたり、行司のまねをしたりしていた。母・ルミさん(46)は「アニメなどは見ずに、ずっと相撲を見ていた。特に白鵬関が好きみたい」とほほ笑む。

 赤嶺君が通っている放課後等デイサービス事業を運営する支援センターパレットの上原恵利香さん(45)=浦添市=が中部農林高校相撲部の関係者と知り合いだったことから5月、見学に訪れた。初めて生で相撲を見た赤嶺君が同相撲部の小濱寿監督に「相撲を取りたい」と話し、練習に参加するようになった。

 練習に通い始めた当初は、大きな声に耳をふさいだり、かんしゃくを起こしたりすることもあった。相撲が好きという気持ちで練習環境にも慣れ、現在は月に2、3回練習に通い、自ら声を出し、体操やすり足、ぶつかり稽古などをしている。元気よく動き回る赤嶺君の練習をサポートするのは相撲部の部員たちだ。赤嶺君の言動で相撲場には自然と笑顔があふれる。

 友利祐誠主将は「練習の雰囲気も明るくなり、接しやすいみんなのムードメーカーだ」と話す。小濱監督は「指導することは彼ら(部員)にも練習していることの意味の気付きにもなる」と語り、「(赤嶺君には)あいさつや礼儀作法、集団行動などを相撲を通して学び、進学・卒業後、社会に出て相撲の経験を役立ててほしい」と練習を見守る。

 大好きな白鵬関に覚えたてのひらがなで手紙を書いている赤嶺君。12月に開かれた大相撲沖縄場所も観戦し、憧れの白鵬関と一緒に写真を撮ってもらった。「(相撲は)楽しかったし、(白鵬関は)大きくて強かった」と興奮気味に話す。

 相撲の大会に出ることを目標にしている赤嶺君は「白鵬みたいに強くなりたい。もっといっぱい練習して強くなりたい」と笑顔で語り、瞳をキラキラ輝かせた。(屋嘉部長将)