「LGBT、解決策共に」 沖縄市社協相談員・南さんに聞く 徹底的に聞くこと大事


社会
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 【沖縄】沖縄市社会福祉協議会が、今月から毎月第2木曜日にLGBT(同性愛者ら性的少数者)に関する相談を受け付ける相談所を開設した。相談員に就任した南定四郎さん(85)に、同性愛の当事者としての経験、LGBTを取り巻く社会の現状、相談の在り方などについて聞いた。

南定四郎さん

―いつ頃、自身が同性愛者だと自覚したのか。

 「若い頃から女性を好きにならない自分に違和感があった。20歳の頃、本屋でゲイの風俗店を紹介した雑誌を立ち読みしていた時、その内容が自分自身のことだと感じ、自覚した。周囲に同じ境遇の人がおらず、孤独を感じた。どう生きるか、情報も少なかった」

 「三島由紀夫の小説に東京のゲイバーが出ていたので『東京に行けば同性愛者に会える』と思い、21歳で横浜に行き、23歳で上京した。さまざまな仕事をした後、1972年に『薔薇(ばら)族』というゲイ雑誌で小説を書く機会が得られた。74年にはゲイ雑誌『アドン』を創刊し、96年まで出版した」

―社会活動について。

 「84年に国際ゲイ協会(現国際レズビアン・ゲイ協会)の日本支部を発足し、LGBTの電話相談を始めた。エイズ相談も受けるようになり、その後は国際会議にも出席しながら、ゲイやエイズなどに対する理解を深める活動をしてきた」

―どう相談に乗るか。

 「性的少数者の人は、話を聞いてほしいという欲求が強いので、まずは徹底的に話を聞く。その内容から、親とのあつれきや自分の性に対する違和感、孤独感など、その人にとって何が問題になっているかを整理する。その上で解決策を一緒に考えていきたい」

―LGBTを取り巻く現状について。

 「私が若かった頃とは大きく環境は変わっている。当時は周囲から『一緒にいたくない』と怒られることすらあった。今はLGBTに対する情報がある程度行き渡っているので、以前と比べるとカミングアウトはしやすくなっている」

 「ただ沖縄のような地方では血縁が強く、カミングアウトすると親族などに広まりやすい。地方から出てきて無縁者が多い東京に比べて言いづらい部分はある。一方で、地方ではちゃんと理解してもらえば助けてくれる人が多い側面もある。LGBTかどうかにかかわらず、他人や社会に貢献すれば認められる。当事者本人の気持ちも重要だ」

―相談者に一言。

 「悩んだら直ちに連絡してほしい。気持ちを外に出すことが大事。そこから新しい道が開ける」

 問い合わせは沖縄市社協(電話)098(937)1500。

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 みなみ・ていしろう 1931年12月生まれ。樺太大泊町出身。45年8月に船で北海道稚内町に上陸し、秋田県南秋田郡加茂青砂にある母の実家に引き揚げる。上京後、東京でゲイ雑誌の出版や、エイズに関する相談員などを長年続けた。体調不良を理由に7年前に沖縄へ移住し、今も療養しながら活動を続ける。