浦添小PTAに地域再生特別賞


この記事を書いた人 志良堂 仁
地域再生大賞特別賞に輝いた浦添小学校PTAとてぃーだこども食堂の運営メンバーら=21日、浦添市の「うらそえぐすく児童センター」

 「第7回地域再生大賞」の各賞が決まった。受賞団体の活動は農林水産業や福祉、生活支援と幅広い。多彩な取り組みは地域で育んできた知恵の深さを示している。沖縄県内からは浦添小学校PTAが特別賞を受賞した。優秀賞にはサバニ帆走レースなどに出場するフーカキサバニ(名護市)が選ばれた。独自の工夫をした活動が評価される特別賞を県内団体が受けるのは第1回(2011年)の「琉球在来豚アグー保存会」以来2団体目。13年には「島の風」(伊是名村)が大賞に輝いた。

 地域の大人として目の前で困っている子どもに寄り添おうと、浦添小学校PTAは、従来の活動から一歩踏み出した。近隣3小学校でお下がりの衣類を交換して必要な人にさりげなく届ける「ハッピーギフト」から始め、2015年5月にうらそえぐすく児童センターで「てぃーだこども食堂」を開いた。学校や児童センターと連携した活動は開所から1年半以上を経て、地域の子どもを育てる基盤として確かな広がりを見せる。

 運営委員会にはPTAの会長、副会長、児童センターの館長が名を連ねる。日本PTA全国協議会によると、PTAが組織として子ども食堂の運営に関わる例は聞いたことがないという。「特定の子どものために活動するのは不適切」といった意見も出る中、梁裕之会長らは「しんどい子を支えれば、学校や地域が明るくなる」とPTAの会員を説得した。

 有志の団体ではなくPTAとして関わることにこだわったのは、既存組織として体制が整っており、継続的な活動が期待できるからだ。何より学校と密接に関わる団体として、学校と協力しあって子どもに寄り添える。

 毎週土曜日の子ども食堂は、センターの職員のほか、PTAの父母らボランティアが支え、参加する子どもは約50人になった。自然な居場所として遊びに来る子も増えた。中学校で荒れそうな「予備軍」を引き留めている手応えがあるという。「無理せず、地域の子をみんなで育てたい」。遊ぶ子どもたちに声を掛けながら、梁会長はほほ笑んだ。