38年前の交換日記、吉田先生が大切に保管 旧津波中生と旧交、絆再び


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恩師の吉田春子さん(前列右)宅で38年前の日記帳を手に記念撮影=12日、大宜味村

 【大宜味】小さな鍵のついた日記帳―。50代の人なら懐かしく思う日記帳を、恩師が38年間大事に保管していた。「あなたたちの日記帳を渡したい」。恩師の呼び掛けに小中併置校時代の旧津波中学校1977年度の卒業生14人のうち5人が12日、同村津波区の恩師宅を訪れ、日記帳を受け取った。

 恩師は吉田春子さん(70)。38年前に中学生だった子どもたちは今53歳。

 当時中学3年の担任だった吉田さんは、子どもたち一人一人と鍵のついた日記帳で交換日記を行っていた。子どもたちは好きな人の内緒話や親とけんかしたこと、進学の悩みなど、おしゃべりをするように書きつづり、それに対して一つ一つ手紙を書くように返していた。時には3ページにもなる事があったという。

 日記帳は卒業式の日に鍵をかけ、再会を約束した。

小さな鍵のついた日記帳

 平良恵さんは「交換日記のことなど、私たちが忘れかけていたことまでよく覚えていてくれて、うれしい。同級生の仲が良いのも先生のおかげだと思う」と笑顔で話した。

 吉田正志さんは「日記は帰りの会で書いていた。発想がとても面白くて、いつもワクワクさせてくれた。面倒見の良い先生だった」と述べた。吉田さんは「何でも言い合える、仲の良いクラスだった。皆立派な大人になって社会に貢献している。とてもうれしい」と目を細めた。

 38年前の日記を読みながら思い出話に花が咲き、「先生のカジマヤー祝いにはオープンカーの運転手は自分が」などと、恩師と元生徒の絆を深める日記帳の贈呈となった。(安里郁江通信員)