本部、宮古にクルーズ拠点港 2船会社、施設整備へ


この記事を書いた人 志良堂 仁

 【東京】国土交通省は31日、民間船会社と自治体が連携してクルーズ船の拠点を開発する全国の6港湾を選定し、沖縄県内から県管理の本部港(本部町)と宮古島市管理の平良港が選ばれたと発表した。港を整備する船会社に岸壁の優先使用を保証することで旅客施設などの整備を促し、官民一体でクルーズ船拠点の形成を推進する。国交省は今後も事業を続ける考えで、石垣市などが検討を進める見通しだ。

 国が進める「官民連携による国際クルーズ拠点形成」事業の一環で、国交省が2016年10~12月に、全国から候補地を募っていた。1月24日に学識経験者らで構成する検討委員会で事業化が決まった。

 事業はクルーズ船を運航する会社が待合所や観光案内所、CIQ(税関・入国管理・検疫)機能などを持つ旅客施設を整備し、他社にも供用する。港湾管理者の自治体や国が岸壁を整備し、施設整備したクルーズ船会社は港湾管理者と合意した規定日数の範囲内で岸壁を優先使用できる。

 本部港の整備は県と「ゲンティン香港グループ」(本社・香港)が計画し、2020年に運用を開始する。20年の寄港回数を88回と見込み、30年には104回を目標とする。検討委は「本島北部地域の主要な出入り口であり、豊富な観光資源の魅力を生かした計画」と評価し、供用開始に向けてCIQ機能の確保が必要だと指摘した。

 平良港の整備は宮古島市と世界シェア48%で1位の「カーニバル・コーポレーション&PLC」(本社・米国、英国)が計画し、20年に運用を開始する。同年の寄港回数を250回と見込み、26年に310回を目標とする。検討委は「リゾート地としての魅力を生かして国際クルーズ拠点を形成する計画」としつつ、係留施設と旅客施設との交通手段確保を課題に挙げた。

 石垣港(石垣市)も検討していたが、応募は見送った。石垣市の担当者は「先行事例を踏まえつつ検討していくことが望ましいと総合的に判断した」と説明し、「募集があれば応募したい」と事業継続に期待した。