返還訓練場を自然調査 環境省 新年度、遺産編入判断へ


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 【東京】政府が世界自然遺産に推薦した「やんばる国立公園」に隣接し、2016年12月に返還された米軍北部訓練場の過半約4千ヘクタールの土地について、環境省は21日までに、2017年度中に自然環境調査を実施する方針を決めた。返還地域は世界自然遺産登録を見据え、専門家による調査を経た上で国立公園に編入するか判断される。

 返還地域は森林が主で、ノグチゲラやヤンバルクイナなど国指定の特別天然記念物、天然記念物が目撃されている。

 環境省によると生態系や植生、固有種、景観などを調査対象に予定している。日程など具体的内容は決まっていない。結果は国立公園編入に向け、公園計画変更案に反映していくという。

 返還区域は地権者への引き渡しまでに防衛省が土壌汚染などの原状回復を進める。原状回復期間は16年12月の返還後「1年~1年半」に設定されている。環境省は原状回復や土地引き渡しなどを踏まえ早急に調査に入る構えで、原状回復に向けた作業と並行して調査が行われる可能性がある。

 返還区域については、地元自治体から国立公園に指定した上で、世界自然遺産に追加登録するよう求めている。

 山本公一環境相は21日の閣議後会見で「米軍監視下に置かれた地域なので、ヤンバルクイナなど希少な動植物が存在しているだろうと想像しているが、調査をしてみないとどういう状況か分からない」と述べるにとどめた。