観光好調の裏で労働環境悪化 沖縄・八重山の宿泊・レンタカー、労基法違反ほぼ100% 人手不足が慢性化


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 沖縄県の八重山労働基準監督署は25日までに、八重山郡(石垣市など)内の宿泊業とレンタカー業を対象に2015~16年の2年間に実施した監督指導結果をまとめた。時間外労働や残業代の不払いなど労働基準関係法令の違反率はレンタカー業20事業所で100%、宿泊業31事業所で96・8%とほぼ全事業所で違反を確認した。観光関連の人手不足を背景に労働環境が悪化している現状が浮き彫りになった。

 両業を対象にした調査は初めて。1カ月の時間外と休日労働時間の最長は宿泊業で219時間、レンタカー業で235時間だった。観光客数が好調に推移する一方、観光業で慢性的な人員不足を背景に従業員の業務過多が生じている。

 同署は観光需要の増加に伴い、人手不足による長時間労働などが懸念されるとして2年間、ホテル・旅館業31事業所とレンタカー業20事業所を重点的に監督指導した。

 その結果、宿泊業では30事業所で違反を確認した。主な違反は「時間外労働」24事業所、「賃金(一部)不払い残業」18事業所、「労働条件を明示しない」10事業所などだった。レンタカー業は全事業所で違反があり、主に「賃金(一部)不払い残業」15事業所、「労働条件を明示しない」15事業所だった。

 八重山地域(石垣市、竹富町、与那国町)の2016年入域観光客数は前年と比べ11・9%増え、過去最高の124万8079人となっている。クルーズ船寄港数が前年比11回増の95回に上り、観光消費額も前年比22・6%増の788億6千万円で過去最高となっている。