別職員にも辞令なし昇給 南部水道企業団 年40万円過大支給


この記事を書いた人 志良堂 仁

 規則で定める上昇幅を超える給与引き上げ、いわゆる「飛び級」などを行っていた件に関連し、南部水道企業団(赤嶺勤企業長)が2006年度、別の男性職員1人を管理者の指示書に当たる辞令なしに昇給させていたことが27日までに琉球新報の取材で分かった。さらにその1年後の07年度、人事院勧告を受けた給与改定時に、同職員に対し、実際に適用される号給より上位の号給を適用していた。「飛び級」問題と同様、給与改定誤適用を、南風原町が15年7月に企業団に指摘していた。

 辞令なし昇給と給与改定誤適用により、本来支払われるはずの給与との間に月額3万3700円の差が生じ、07年度の1年間で少なくとも40万4400円を規定より多く支給していたことになる。

 辞令なし昇給と給与改定誤適用のまま同職員は現在まで昇給・昇格を重ねており、規定を超えた給与支払いは16年度まで約10年間、累積している計算となる。

 男性は06年4月の辞令では4級2号(月額22万5500円)と規定されていた。同年度の1年間、実際に支払われた給与は1号上位で月8400円高い4級3号(23万3900円)だった。

 また、05年人事院勧告を受けて、企業団が07年度、給与改定する際、男性は新給与表では3級9号(23万6600円)への切り替えが規定されていたが、実際の処理では4級1号(26万2300円)とされ、切り替え前より2万8400円高い給料が支給されることになった。

 企業団の玉城秀樹次長は本紙取材に対し「給与切り替えが間違っていたとは断定できないが、これまでに労働組合からいろいろ指摘を受けており、全職員の初任給から見直した給与表への切り替えを検討している」と回答した。

 企業団の職員給与に関しては、00年以降、企業団が3人の男性職員に対し、給与規則が定める上昇幅を超える引き上げ、いわゆる「飛び級」を行っていたことが明らかになっている。

 企業団は懲戒に関する要綱で、給与の不正支給や不正受給を行った場合、減給か戒告とする懲戒処分を定めている。(当銘寿夫)

<用語>企業団職員の給与体系
各地方公営企業ごとの条例で規定され、類似の職種の地方公共団体職員の給与などを考慮して定める必要がある。南部水道企業団は公務員と同様、職務(役職)に応じて区分する「級」と職務経験年数による習熟度で区分する「号給」の組み合わせで給与を決定する。