エナジック監督就任 石嶺和彦氏に聞く チームに競争意識


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試合中に、主審に選手交代を告げるエナジックの石嶺和彦監督=27日、うるま市の石川野球場

 1990年にパ・リーグ打点王を獲得するなど、プロ野球で活躍した豊見城高校出身の石嶺和彦氏(56)が昨年5月から社会人硬式野球のエナジック(名護市)で指揮を執る。27日は今年2試合目となる練習試合(石川野球場)を韓国LGツインズと行い、5―0で勝利。「チーム内に競争意識が出始めている」と選手の成長に目を細める。今シーズン初の公式戦を3月中旬に控える中、チームの目標や沖縄への思いなどを聞いた。(聞き手 外間崇)

 ―今日の選手の動きは。

 「個々が走攻守で練習の成果があった。練習試合とはいえ、勝つことは自信につながる。社会人野球に調整時期ということはなく、その日その日がアピールの場だ。間近に迫る「石川逢篤杯」に向けて、積極的にプレーしていた」

 ―現在のチームの様子は。

 「新たに7人が加わり、28人体制で今シーズンをスタートする。平均年齢は23歳ほどで、若いチームだ。この1年で日常の練習から競争意識を持ちながら取り組むようになってきた。試合に出るため、試合で活躍するために、どのように練習するのかを個々が考えている。試合で誰を使おうかと悩むぐらいになりそうだ」

 「選手は通常、朝早くから練習し、午後はそれぞれが業務をこなしている。限られた時間の中で、どうやったら上手になるのかを、みんなが意識してきている」

 ―昨年5月に監督に就任した。

 「それまでの2年間は韓国のプロ野球チームでコーチを務めていた。いつか沖縄に戻り、恩返しがしたいという思いはあった。縁があり、よい誘いを受けたので引き受けた。チームに入り3カ月ほどは助監督だったが、その後監督となった。名護市内で暮らし、野球漬けの毎日を送っている」

 ―監督業とは。

 「コーチは打撃や守備などそれぞれが専門分野を担当すればいいが、監督はトータル的に選手の実力やチーム状態を見ていかないといけない。選手の能力を総合的に判断する能力が必要だと思う」

 ―チームの目標は。

 「もちろん都市対抗野球に出場して勝ちたいが、すぐに全国大会で成績を残すことは難しい。目の前の試合、大会をしっかり戦っていきたい。またプロ野球に入り、活躍できる選手を育てていきたい」

 ―沖縄への思いは。

 「実力のある選手は多い。特に中学や高校は全国的にもレベルが高いが、一度県外に出てしまうと、なかなか県内には戻って来ない。沖縄でも目標を持ち成長できる環境をぜひつくっていきたい。社会人野球でいえば、どのチームが沖縄代表となっても、九州大会を勝ち抜き、全国大会に出場できるように、チーム個々が力を付けて競い合い、全体としてのレベルを上げていきたい。沖縄の社会人野球が少しでも盛り上がるような手助けができればうれしい」

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 いしみね・かずひこ 1961年1月生まれ、那覇市出身。豊見城高校時代に4番捕手として活躍。2年の春から4大会連続甲子園大会に出場した。高校卒業時に阪急(当時)からドラフト2位指名を受け入団。1986年に56試合連続出塁の日本記録を樹立。90年に打点王、94年にFA宣言し阪神に移籍、97年に引退した。通算269本塁打、オールスター出場4度、ベストナイン3度。2003年以降、中日、DeNA、オリックス、韓国・高揚ワンダース、韓国・KTウィズでコーチを務めた。