辺野古海域の文化財調査を 名護市教委、国に要求


この記事を書いた人 平良 正
新基地建設が計画される米軍キャンプ・シュワブ沿岸部=1月、名護市辺野古(小型無線ヘリで撮影)

 【名護】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設予定地で、名護市教育委員会が沖縄防衛局に対し、大浦湾の埋め立て工事に入る前に海域の文化財調査を求めていることが7日までに分かった。建設予定地の米軍キャンプ・シュワブでは昨年7月に新たな遺跡として海域と陸域の両方にまたがる「長崎兼久遺物散布地」が認定された。文化財保護法に基づき、同散布地は海域も含めて工事で改変される前に調査が必要となっている。さらに市教委は、同散布地の範囲外の海域でも関連の文化財が存在する可能性も視野に海域の調査を求めている。調査の状況によっては工事スケジュールに影響する可能性もある。

 沖縄防衛局は本紙取材に「キャンプ・シュワブ内の文化財調査は県、市教委で調整してきた。今後も関係法令に従い、適切に対応する」と回答した。

 市教委は2015年度の文化財調査で土器や石器、陶器、碇石(いかりいし)など海域や陸域で発見し、県教育委員会が16年7月に新たな遺跡として認定した。市教委ではこれまで海域の文化財調査を実施した実績がほとんどない。しかし、今回は海域の調査が必要との見解で県教育庁文化財課の助言も受けながら調査方法の技術的な面や期間、範囲などの計画の取りまとめを急いでいる。市教委文化課は「(文化財が)陸上から海に流れている可能性もある」との見方を示し防衛局と調整を進めていることを説明した。

 碇石に詳しい沖縄考古学会の當眞嗣一会長は「水中にあっても埋蔵文化財の対象だ。碇石も見つかっている。海をなりわいにしていたということだ」と指摘。海域の文化財の範囲に関し「調査しないとどう広がるのかは分からない」と述べ、海域も広く調査する必要性が高いことを強調した。(古堅一樹)

英文へ→Nago BOE requests cultural property survey to be conducted on Henoko sea area