モズク、2月の早摘み成功 県内7漁協


社会
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早摘みモズクを水揚げする漁師=1日、うるま市の勝連漁協

 モズクを生産している各漁協が従来より1ヵ月程度早いモズクの早摘みに取り組み、成功した。加工業者の在庫不足解消につながっている。県内のモズク生産量が昨年まで2年連続で不作傾向となり、加工業者からの要望を受けたもので、種付けの時期を早めるなど工夫した。

 漁協にもよるが、モズクの収穫は例年3月くらいから始まるのが一般的。だが今年は早摘みモズクの収穫が2月から広まった。県漁業協同組合連合会によると生産量が多い勝連、知念など7漁協で2月からの収穫が確認されている。

 県内一のモズク産地である勝連漁協の上原勇行組合長は「早摘みのため、陸上での種付けの時期を例年より1カ月ほど早い9月中旬からやっていた。本来ならまだ暑くて種付けに向かない時期だが、ネットの上に遮光カーテンを張るなど工夫していた」と語る。

 知念漁協でも今年初めて2月からの操業があり、1日平均20トン程度、2月後半からは30~40トンで推移した。「昨年は1月の寒波で2月は収穫どころではなかった」と振り返り、今期の取り組みの意義を語った。

 こうした状況にあるモズク加工業者は「昨年は8月に在庫状況が厳しくなり、半分近くの取引を止め、残った取引先も出荷制限をかけた。モズクの収穫が例年通りの時期だったら会社はだいぶ厳しい状況になっていた。生産者の努力でだいぶ助かった」と安心した。

 加工業者からの引き合いも強く、期待が高まるモズク生産だが、県漁業協同組合連合会によると3月に入って一部で魚類による食害や、養殖網からモズクが外れる「根切れ」と呼ばれる現象も見られる。

 各漁協の担当者らは旧暦の2月ごろに吹く突風「ニンガチカジマーイ」(二月風回り)や、爆弾低気圧への懸念も強く、緊張感のある栽培が続く。