理解と支えが力 病気でも自分らしく働く


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 【豊見城】豊見城市は2月26日、「2016年度認知症講演会~私が認知症になってもできること、私たちが支えるためにできること」を市役所で開いた。認知症を患いながら民間企業で働く大城勝史さん(42)=豊見城市=が「記憶より記録」をテーマに講演し「病気になっても周囲の理解と協力で仕事は続けられる」と強調した。

認知症について語る大城勝史さん=2月26日、豊見城市役所

 大城さんは沖縄トヨペットで営業職に就いていたが、15年に若年性アルツハイマーと診断され、現在は洗車担当として働く。病気になってから人の顔や名前を覚えるのが苦手になり、自宅近くでも道に迷うなど、生活にさまざまな影響が出るようになった。

 診断書を職場に出すときは「退職を促されると思った。妻には『首になるかも』と謝った」が、認知症の家族会などの協力を得て会社と話し合い、配置転換をして働けることになった。

 「職場の配慮と理解のおかげで、仕事を続けられている。感謝の気持ちでいっぱいだ。病気は徐々に進行しているかもしれないが、自分らしく働き、生活できている」と思いを語った。

 現在、日々の生活ではオリジナルのメモ帳やボイスレコーダーを活用し、自宅ではパソコン周辺やホワイトボードにメモを書き込んだり、貼り付けたりして記憶をつないでいる。服薬やメモ取りの時間は携帯のアラームで管理している。

 大城さんは「以前は意識せずにできたことができなくなった。健康でなくなって幸せであることの大切さを知った。だからこそ今は一日一日を大切にしたいと思えるようになった」と語る。

 6月には自身の体験をまとめた本を出版する予定だと言い「一番は認知症のイメージを変えたいと思う。多くの人に読んでほしい」と呼び掛けた。