両腕補助具に初助成 音楽活動評価で特例


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
補装具費支給制度で両腕分の助成が認められた補装具を着け三線を演奏する沖縄型神経原性筋萎縮症の家族会「希の会」の我如古盛健会長=沖縄市の愛音楽(アネラ)ハウス

 障がいのある人の身体的機能の補完・代替する装具について助成する「補装具費支給制度」でこのほど、我如古盛健さん(61)=うるま市=の両腕分の装具が助成の対象になった。厚生労働省が両腕分の装具を助成対象に認定するのは我如古さんが国内で初めて。

 我如古さんは筋力低下の症状が現れる「沖縄型神経原性筋萎縮症」の家族会「希の会」の会長を務めており、さまざまな障がいがあるメンバーで構成するバンド「ケントミファミリー」のメンバーとして三線を演奏、指導する。

 腕の機能を補助する上肢装具「MOMO」が助成対象となった。我如古さんは「両腕でも助成が受けられることの普及につながれば」と話した。

 厚労省は2016年12月に「補装具費の支給対象となる補装具の個数については原則として1個とされているが障がいの状況を勘案して、職業または教育上などに特に必要と認めた場合は2個とすることができる」と両腕の助成を認める見解を出した。三線演奏や指導が両腕の助成理由となったとみられる。

 我如古さんは「生きがいの三線を演奏したり、指導したりするには両手の『MOMO』が欠かせない」とし、厚労省に秋野公造参院議員(公明党)を通して、両腕の助成を求めていた。片腕は16年4月に助成が認められていた。

 「MOMO」は机に固定し利用するのが一般的。我如古さんは車いすと固定する器具と共に助成の申請を予定している。我如古さんは沖縄型神経原性筋萎縮症だけでなく、筋ジストロフィーなどの人にも需要はあるとし、「(両腕への助成が認められたことは)根治薬ができるまでの望みをつなぐ第一歩になったと思う。必要な人へ普及してほしい」と語った。(屋嘉部長将)