病児と家族 支え10年 わらびの会、記念誌発刊


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「関心のある人に読んでほしい」と話したNPO法人こども医療支援わらびの会の親川武司副理事長=30日、那覇市天久の琉球新報社

 南風原町新川の県立南部医療センター・こども医療センターで治療を受ける子どもや家族を支援する事業に取り組むNPO法人こども医療支援わらびの会(真栄田篤彦理事長)はこのほど、10周年記念誌を発刊した。記念誌ではこども医療センター実現に向けた前身団体の活動を含む長年にわたる取り組みを、関係者の寄稿文や資料などで紹介している。

 こども医療センター開設前の県内では、重症の心臓病など高度医療を必要とする病児が県外で手術を受けざるを得ない状況にあったため、関係団体が1997年4月、同会の前身「母子総合医療センター設立推進協議会」を発足。約20万人分の署名を集めるなど活動を展開し、病院開設につなげた。

 こども医療センター開設が実現した後、同推進協は2005年8月にこども医療支援わらびの会へと移行。同会は主に、同センターで活動するボランティア養成・活動支援、入院・通院患児家族の滞在施設「がじゅまるの家」受託運営などに取り組んでいる。

 編集に携わった同会の親川武司副理事長は「県は当初、県立那覇病院の建て替え程度の考え方だったが、子ども病院の必要性を訴えることで実現に結び付いた」と述懐した。

 記念誌はA4判・258ページで、発行部数は1500部。関係者のエッセーや座談会、運動の年表や新聞掲載記事、「がじゅまるの家」利用者の声などで構成している。同会は要望に応じて記念誌を無料提供する。問い合わせは事務局(電話)098(888)6605。