日本側の捜査権要求 地位協定改定案、沖縄県が17年ぶり見直し


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 沖縄県は6日までに、米軍の運用や米軍関係者の身分を定めた日米地位協定に関し、2000年の稲嶺恵一県政による11項目の改定要求に新たな要求内容を加えた独自の改定案の素案をまとめた。米軍機墜落などを想定し、基地外で起きた事件・事故で米軍の財産でも日本側が捜査、差し押さえできることや、事故現場を日本側が統制する仕組みを求める。

 基地内でも用途の変更や埋め立て、大規模な工作物新設などの計画があれば、関係自治体と協議し、その意向を尊重することも新たに求める。環境汚染問題については、従来通り自治体による基地内への立ち入り調査権を求める。

 さらに返還跡地から汚染物質が出て、跡地利用が滞る事例が相次いだことから、米軍が基地の使用履歴を日本側に提供することも要求する。

 県は基地所在市町村の意見も踏まえて最終案をまとめ、6月にも日米両政府に改定を要請する。

 基地外での米軍財産の差し押さえや日本側による事故現場の統制は、2004年の沖縄国際大ヘリ墜落や、昨年の名護市安部のオスプレイ墜落の際に、米軍が基地外で規制線を張り、日本側当局の捜査を拒んだことを受けて盛り込んだ。

 米軍施設・区域の埋め立てや大規模な施設建設、用途変更に関する地元自治体の意向尊重は、県や名護市が反対する中で、辺野古新基地建設が進められていることなどを踏まえ要求する。

 個別の基地の運用に関しても、深夜・早朝の騒音や外来機の飛来が制御できない状況から、嘉手納町などが基地使用協定の締結を求めている点を指摘。日米両政府が個々の施設について結ぶ協定に関し、関係自治体から住民生活の安全確保や福祉の向上を図る内容の要請があれば、これを検討する旨を明記することを求める。

 県は謝花喜一郎知事公室長を筆頭に、基地対策課が昨夏から改定案を検討してきた。ドイツ駐留米軍の運用などについて定めたボン補足協定など海外の事例も検証した。