国防の役割強調 自衛隊1年記念式典 住民、「基地の島」懸念 与那国


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
陸上自衛隊与那国駐屯地の開設1周年記念式典=23日、同駐屯地

 【与那国】陸上自衛隊与那国駐屯地(塩満大吾司令)は23日、開設1周年記念式典を同駐屯地で開催した。小林鷹之防衛政務官や外間守吉町長ら関係者と与那国沿岸監視隊を中心とした隊員ら約160人が出席した。「国防のとりで」としての役割が強調されたほか、部隊配備に理解を示しているとして町民への謝意が示された。

 小林政務官は与那国駐屯地開設について「南西地域における防衛体制強化の端緒を開くもので重要な意義がある。各種事態発生の抑止に大きく寄与している」と述べた。その上で任務遂行のためには住民の理解・協力が不可欠だと強調。開設後隊員が積極的に町民と交流を図ってきたとして「今後も島民と共に歩み、島民から信頼される存在であってほしい」と求めた。

 外間町長は「町民が自衛隊という存在を受け入れ、隊員と住民との交流も盛んに行われている」として、配備の是非を巡り生じた“分断”の解消が進んでいるとの認識を示した。配備による具体的なメリットとして、隊員家族の移住による与那国小の複式学級解消を報告した。

 一方、駐屯地前では住民ら約15人がプラカードを掲げて抗議活動を行った。海上自衛隊誘致の動きもあることから、さらなる自衛隊配備への反対を訴えた。抗議活動に参加した女性(57)は町民が増加したことなどは評価した上で、「これ以上の配備で島を壊さないでほしい。基地の島になりかねないとの危機感がある」と強調した。

 与那国駐屯地と沿岸監視隊は2016年3月28日に創設された。