〈ひと〉“とげ”抜いて良い将来へ 那覇家庭裁判所所長に就任した遠藤真澄さん


社会
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 24日付でさいたま家庭裁判所判事から那覇家庭裁判所所長に就任した。「当事者同士にある“とげ”を抜いてあげて、双方の将来にとってより良い解決を見つけ出していきたい」。判事として心掛けてきたことを語る口調は穏やかだが、ぶれない信念がのぞく。

 那覇市牧志の出身。琉球大学を卒業後、1984年に法曹界に入り、横浜を皮切りに東京、仙台などで主に民事、家事事件を担当してきた。裁判所の敷居の高さを少しでも和らげる「法律の分かる隣のおばさん」を目指して裁判官になったという。

 2011年には那覇地裁沖縄支部長に就任した。第3次嘉手納爆音訴訟の審理も担当した。今回2度目となる沖縄への着任には「こんなに早く戻ってこられるとは思ってなかったので、とてもうれしい」と喜びの表情を浮かべる。

 県内の少年非行の状況に意識が向く。「大人の意識が非常に低いことにも原因がある。子は宝ということで、県民全体の意識を上げて雰囲気づくりが必要だ」と話し、裁判所だけでなく、関係機関との連携を密にして非行防止を図る考えだ。

 趣味は山登りで、周りの風景を眺めながら歩くのが魅力的だという。「重い荷物を持ちながらも足元を見ながら一歩一歩進むことが大切だ」と、山登りに人生を重ねる。前回の沖縄赴任では離島をあちこち歩き回ったという。「あまり家でじっとしていたくはない。また沖縄の景色を楽しみたい」

 夫との間に1男。58歳。