琉球犬の混血、捨てられる 純血保存の中農高生「悲しい」


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中部農林高校に捨てられた琉球犬の混血種と、琉球犬の純血保存に取り組んでいる亀島湧人さん(手前左端)ら=4月22日、与那原町

 琉球犬の純血保存に取り組んでいる沖縄県立中部農林高校の犬舎にこのほど、琉球犬の混血種が1匹捨てられているのが見つかり、生徒に動揺が広がっている。今年4月から純血保存に取り組んでいる同校2年の亀島湧人さん(16)は「僕たちの気持ちを理解してもらえず、悲しい」と肩を落とした。

 本紙が4月6日付紙面で亀島さんらの取り組みを紹介した後、学校には交配を希望する連絡が度々寄せられるようになった。だが純血種でない場合などは交配を断らざるを得ないこともあるという。

 犬舎に捨てられていた犬は琉球犬と多種犬の混血とみられる。首輪の痕があり、「待て」「お座り」のしつけも受けている。「活動目的が理解されていないことと、愛情を注いだはずの犬が捨てられたことが悲しい」(亀島さん)。捨てられていた犬は近日中に保護団体に引き渡す予定だ。

 中農高では2016年10月、保存会の元会長である新垣義男さん=与那原町=から引き取った雄の琉球犬・松虎(しょうと)の世話を始めた。亀島さんらは今月から松虎の交配犬を探している。「純血保存」の活動目的から「純血であること」「生まれた琉球犬の世話」を交配条件としている。

 今回、校舎内で発見された捨て犬は生後4~6カ月、琉球犬と多種犬との混血犬とみられる。20日朝、登校した生徒が犬舎にいるところを発見し、琉球犬の純血保存に取り組んでいる亀島さんらに知らせた。純血種ではないため、松虎と交配はできない。学校で飼育する余裕もなく、県内の動物保護団体に引き渡すことになった。

 亀島さんと共に活動している奥間梨々佳さん(16)=2年=は「どんな理由があっても、理解はできない」と声を落とした。比屋根優希さん(16)=2年=は「この犬は毛並みもいい。きっと愛情を受けていたはずだ。犬舎に置いてきぼりにされて、どんな気持ちで一晩過ごしたんだろう」と言葉少なに語った。(嘉数陽)