安倍晋三首相が自衛隊を明文化する改憲をして、2020年の施行を目指す方針を示したことに、県内では「非常に危険だ」などと反発が相次いだ。一方で自衛隊の合憲化に賛同の声も上がった。
県憲法普及協議会理事の松崎暁史弁護士は、安倍首相が自民党の改憲案とは違い戦力不保持を定めた9条2項を維持するとしたことに注目。「国民のアレルギーの少なくなった自衛隊を先に、とにかく改憲を国民に体験させようという意図がありありと見える。次のステップに踏み込むための目くらましで、非常に危険だ」と警鐘を鳴らした。林千賀子弁護士は20年という区切りに「国民不在で、安倍首相の任期という政権の都合でしかない」と疑問を呈した。
沖縄・民間戦争被害者の会の運営委員などを務める瑞慶山良實(よしみ)さん(64)は「戦争の反省から生まれた憲法を変える必要はない。いろいろな方法で食い止めないといけない。今が正念場だ」と危機感をあらわにした。
30代の会社員の男性は、自衛隊の合憲化に「必要な存在だと思う」と理解を示したが「五輪と同じ年になぜ施行するのか、よく分からない」と首をかしげた。
自衛隊関係者らを中心に、賛同の声も上がった。自衛官OBでつくる隊友会宮古支部の伊藤利也支部長(60)は、自衛隊の前身である警察予備隊について、連合国軍総司令部(GHQ)の要請により創設されたとして「憲法から出てきたものでないので一般の人には分かりにくい。自衛権の範囲で役割を明確にすることに賛成だ」と話した。