キングス、執念連勝 CS進出 Bリーグ最終戦


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キングス―大阪 勝利の歓喜に沸くキングスの選手ら=7日、沖縄市体育館(新里圭蔵撮影)

 プロバスケットボールBリーグ1部の琉球ゴールデンキングス(西地区3位=28勝31敗)は7日、沖縄市体育館で大阪エヴェッサ(同地区2位=28勝31敗)と最終戦第60戦を行い、80―72で勝利し地区2位を確定させ、チャンピオンシップ(CS)進出を決めた。CS準々決勝は13、14の両日に行い、キングスは愛知県のウィングアリーナ刈谷でシーホース三河と対戦する。第1クオーター(Q)はキングスのシュート精度が光った。レイショーン・テリーのドライブを中心に、岸本隆一の3点弾で加算。リバウンドへの意識は攻守で高く、大阪の外国籍2人と競り合った。守備ではボールを持たない相手選手の動きを封じ、単発プレーを誘って攻撃に転じ、26―14と大差をつけた。しかし、第2Qに入り、大阪がゴール下の守備を固めてキングスのインサイドを封じ始める。守りも大阪のスピードに苦しみ、ミスだけでなくファールもかさむと、大阪のエグゼビア・ギブソンにフリースローを何度も決められ、2点差まで詰められて折り返した。第3Qは開始直後に41―42と逆転され、その後は激しい攻防が続いた。そこで金城茂之やアンソニー・マクヘンリーらが随所でパスカットし、相手の攻撃を封じる好守を見せた。57―49でスタートした第4Qは大阪のギブソンに手こずったが、追い上げられたところでもテリーが3点弾やフリースローを的確に決め、最後までリードを保ち、競り合いに決着を付けた。準々決勝で対戦する三河との対戦成績は今季1勝5敗。三河にはキングスでもプレーした宮古島市出身の狩俣昌也(狩俣中―興南高―国際武道大)が所属している。

キングス(29勝31敗)
80―72(26―14,15―25,16―10,23―23)
大阪(28勝32敗)
 (キングスはチャンピオンシップ進出)

 【評】キングスは第1Qからシュートが決まると、守備では大阪の攻撃を封じた。しかし、第2Qはスピードを上げた大阪に振り切られ、終了間際に一時同点となるなど追い上げられる。第3Qは両チーム慌ただしい展開が続いたが、キングスはアンソニー・マクヘンリーと金城茂之のベテラン勢が立て直すと、第4Qはコートの全員が点に絡む奮闘を見せ、点差を広げ8点差で勝ち、CS進出の切符を手にした。(嘉陽拓也)

◆一流の仕事できず

 桶谷大HC(大阪)の話 今日のゲームはシーズンの縮図だった。もっと早くにCSを決められたはずが、プロとして一流の仕事ができなかった。選手らは人生の教訓としてほしい。キングスには頑張ってほしい。

◆マック 攻守で本領

キングス―大阪 第1Q、リバウンドを取るアンソニー・マクヘンリー=7日、沖縄市体育館(又吉康秀撮影)

 常にキングスの精神的支柱であり続けるマクヘンリーが、最終決戦となったこの日も、守備の要として大阪のシュートをたたき落とし、リバウンドやパスカットから速攻につなげるなど、自陣ゴール前で立ちふさがった。第4Qには、ファールが立て込んだ大阪のエグセビア・ギブソンからオフェンスファールを誘って退場につなげ、得点源を断ち切った。キングス入団9年目のベテランは「Bリーグ元年にCSに出場できることは感慨深い」と、落ち着いた笑顔を見せた。

 マクヘンリーの本領は、41―39で始まった第3Qで発揮された。同点に追い付かれて慌ただしくなるなか、相手のペイントエリアで守備3枚をはねのけて2点奪うと、直後にスチールやブロックショットで大阪の勢いをくじく。マクヘンリーが均衡を破ると、ミスはあったものの金城茂之や田代直希が躍動し、主導権は譲らなかった。

 第4Qも津山尚大とダブルチームでギブソンのパスミスを誘った後、体を張った守備でギブソンを5ファールの退場に追い込んだ。ベンチの伊佐勉HCが「ここで勝利がよぎった」と思うほど、流れを決定付けるビッグプレーだった。

 試合前、思い残すことがないようにメンバーに「コートに全て置いてこい」と伝えたという。勝利の立役者だが「チームの遂行レベルが高かった」と謙虚な姿勢を貫く。CSに向け「キングスのファンは日本一。彼らの魂が(自分に)届いている。CSも一緒に戦ってくれると信じている」と語った。
(嘉陽拓也)

◆「ここからがスタート」 伊佐HC リーグ元年、選手成長実感

声を張り上げ、選手に指示を送る伊佐勉ヘッドコーチ(又吉康秀撮影)

 薄氷の上を時につまずきながらも、多くのファンに背中を押され、チャンピオンシップの出場をつかみ取るこの日を迎えた。「望む勝ち方ではないが、一つの目標を超えてほっとしている」と語る伊佐勉HCは試合後、少し肩の力が抜けた様子だった。

 bjリーグで4度、王者となったキングスにとって、Bリーグ元年は「最初は負けに対する準備ができていなかった」が、チームの実力を知り、試合を重ねるなかで選手が成長していったという。

 4月の名古屋戦で敗れ、CSへの自力出場が途絶えた時は一瞬諦めかけたが、少ない好機を確実につかみ取った。「チームの歴史にもとても良い経験。ここからがスタート。もう一段ギアを上げて、三河にチャレンジしていく」。頂点へ駆け上がるため、勝利の喜びもつかの間、指揮官の顔がいつもの真剣な表情に戻った。