沖縄は長時間労働が常態化? 実は20年間減少傾向 【貧困雇用 沖縄経済を読み解く(8)】


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄は低賃金の割に労働時間が長いといわれます。労働時間が全国平均を上回り、長時間労働が常態化しているという指摘もよくされます。

 しかし、統計の内訳を見ると2015年の年間平均総実労働時間の全国平均は144・5時間で、沖縄は147・6時間、全国28位となっています。

 1位の福島157・3時間や2位の岩手県155・9時間など上位16県が150時間を超えるのと比べると、沖縄だけが労働時間が特に長いということではありませんでした。

 また全国平均の144・5時間を上回るのは38道県もあり、全国平均を下回るのは東京、神奈川、千葉、埼玉などの首都圏や大阪、兵庫、京都などの都市圏などのわずか9都府県しかないことにも注目すべきです。

 これらは全国平均と沖縄の数値だけを比べただけでは分からない事項ですが、その内訳を見るのと見ないのとではだいぶ印象が違ってきます。

 さらに沖縄の長時間労働はここ20年近くで改善に向かっているのです。厚生労働省の毎月勤労統計調査地方調査によると、1997年に沖縄の平均総実労働時間は162・0時間で全国11位でした。

 その後2003年に158・5時間と160時間台を割ってからは、多少上下があるものの労働時間は減り続け、15年までの19年間で約14時間も減っています。このことも単年度の統計だけ見ると分からない事項です。
(安里長従、司法書士)