「悠々」と羽ばたき空へ 保護のカンムリワシ放す


この記事を書いた人 松永 勝利
放鳥され大きく羽を広げて飛び立つカンムリワシの「悠々」。この後大きく旋回し、西の空に向かった=18日午前、石垣市登野城

 【石垣】衰弱のため保護されていた国の特別天然記念物・カンムリワシが18日午前、保護された市登野城の民家から野生に返された。「悠々(ゆうゆう)」と名付けられた雄の幼鳥のカンムリワシは、解き放たれるとすぐに大きく羽ばたき西の空に飛び立っていった。
 石垣自然保護官事務所などによると、カンムリワシは4月15日に花卉(かき)農家敷地にある農水用ため池に、飛べない状態で浮いているところを発見された。動物病院での治療後、県傷病野生鳥獣保護飼養ボランティア施設でリハビリを実施していた。
 放鳥前の体重は840グラムで、保護時よりも90グラム増えた。体長は51・5センチ。

放鳥前のカンムリワシの「悠々」と記念撮影する保護した高宮耕さん(右)と恵子さん(右から2人目)ら=18日午前、石垣市登野城

 保護した高宮恵子さん(48)は「元気なくやせ細っていて、病院では『駄目かもしれない』と言われた。飛び立った姿はやっぱり勇敢なので、絶滅しないでこれからも生き続けてほしい」と話した。
 名付け親は娘の春花さん(16)=八重山高2年=で「大自然で『悠々』と大空を羽ばたいてほしい」との願いを込めたという。
 石垣自然保護官事務所によると、2017年にカンムリワシの交通事故は17日現在、5件発生し、全て死亡している。同事務所は幹線道路で事故が多発しているとして、スピードを出し過ぎないよう注意を呼び掛けた。
 カンムリワシの個体数は石垣島と西表島でそれぞれ100羽程度と推測されている。【琉球新報電子版】