「ひめゆり」を落語に 桂春蝶さん「命考える機会に」


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沖縄戦を題材にした落語で「命のぬくもりを伝えたい」と語る桂春蝶さん=25日、琉球新報東京支社

 【東京】国内外で活躍する落語家、桂春蝶(しゅんちょう)さん(42)が自身の「落語で伝えたい想(おも)い」の第4弾として、ひめゆり学徒隊の体験を基にした沖縄戦の物語に挑む。独演会のテーマは「ニライカナイで逢(あ)いましょう~ひめゆり学徒隊秘抄録~」。春蝶さんは「沖縄戦を通して、命そのものを考えるきっかけになってほしい。命のぬくもりを伝えたい」と思いを語った。独演会は6月24日午後1時半から、浦添市の国立劇場おきなわ小劇場で開かれる。

 春蝶さんが沖縄戦に関心を持ったきっかけは高校時代の修学旅行。糸満市のひめゆり平和祈念資料館がずっと心に残っているという。その後、何度も沖縄に足を運んで取材を重ねた。

 座間味村では沖縄戦で犠牲になった人の白骨にも出合った。戦後初めて語ったという体験者からも話が聞けたという。

 物語はひめゆり学徒隊を中心とした人間ドラマで、春蝶さんは「戦争を伝えるということも大切だが、物語を通して命そのもののぬくもりを伝えたい」と思いを語った。

 一般的に落語は笑いを誘う場として知られるが、今回、沖縄戦という重い題材を扱うことについては「落語は共感が鍵を握る。共感には陰と陽があり、笑いが陽なら、陰は涙だ。笑いだけにこだわらず、人間そのものを伝える落語があってもいい」と話した。春蝶さんの落語を聞きに来る聴衆は「話の向こうの人間に触れたがっている」と言う。そんな「人間そのものを伝えたい想い」シリーズの今回は4作目となる。

 チケットは前売り3千円、当日3500円。問い合わせ・予約はクリエイティブワンズ(電話)06(6356)6788。