「戦場の暗闇」体感 金武児童、北部戦跡巡り


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金武鍾乳洞で戦時中の状況について学ぶ金武町の児童ら=4日、金武町の金武鍾乳洞

 【金武】平和学習「金武・やんばるの戦跡めぐり」(主催・金武町公民館連絡協議会)が4日、実施され、地元・金武町や北部地域の戦跡を訪ねた。参加したのは町内の小学4、5、6年生の25人で、金武町公民館連絡協議会や町教育委員会の職員が案内した。児童らは戦跡や関係する資料館の計11カ所を回り、戦時中や戦後に北部地域で起きた出来事を学んだ。

 連絡協議会は毎年、慰霊の日の前に戦跡巡りを開催してきた。これまで激戦地だった中南部を案内していた。しかし地元の北部地域の戦争を学ぶ必要があるとして、今回は北部地域の戦跡を巡ることになった。

 町教育委員会の玉元孝治さん(32)は「北部にも戦禍が及んだことなど、今回の学習をきっかけに地元で何が起きたのかを知ってほしい」と、意義を語った。

 金武観音寺の敷地内にある金武鍾乳洞は戦時中、中南部から避難してきた約千人の住民が身を隠していた。児童らは懐中電灯を持って入り口から階段で奥へと下り、水たまりが点在する広い空間で懐中電灯の明かりを消して、当時の状況を追体験した。暗闇に包まれ、天井から滴り落ちる水滴の音だけが周囲に響き渡った。

 参加した伊芸煌さん(10)=嘉芸小5年=は「戦時中に真っ暗な鍾乳洞の中で多くの人が生活していたことに驚いた。苦しみながら生き抜いた昔の人はすごいと思った」と話した。

 また吉山怜良さん(10)=同5年=は「今後は戦争で亡くなった人たちのことも思いながら生活していきたい」と感想を述べていた。