FC琉球、終了直前で逆転 サッカー明治安田J3第14節


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 サッカー明治安田J3第14節は25日、各地で8試合を行い、沖縄市の県総合運動公園陸上競技場であったFC琉球―ガイナーレ鳥取戦は、琉球が2―1で逆転勝ちした。琉球は5勝5分け3敗、勝ち点20で8位。前半17分、鳥取に先制された後、何度もチャンスをつくるも6本のシュートは得点には結び付かなかった。0―1の後半開始早々にPKの好機でMF富所悠が落ち着いてゴール。終盤間際にはDF藤澤典隆がドリブルで駆け上がり、左足でゴールに突き刺した。アウェーでの2連勝を含めて5月から6戦負けなしと好調を維持していた琉球は、この日も序盤の1点ビハインドをはね返して7戦無敗。33.2度の暑さの中、今季ホーム2勝目をもぎ取った。首位の秋田は相模原を1―0で下し、開幕から13戦負けなしで勝ち点33とした。富山はG大阪U―23(23歳以下)に2―0で勝ち、同28。沼津はFC東京U―23に6―1と大勝し同26で3位に浮上した。琉球の次戦は7月1日、ニッパツ三ツ沢球技場でY.S.C.C.横浜と対戦する。

(1)沖縄県陸
FC琉球 5勝5分け3敗 (20)
2―1(0―1,2―0)
鳥取 3勝3分け7敗(12)

▽得点者【琉】富所(PK)(5)藤沢(2)【取】岩元(2)
▽観衆 1813人

 【評】琉球は鳥取にボールを持たせながらも、隙をを突き好機を狙っていく戦略だったが前半、守備の判断ミスから先制点を奪われる。その後は普段通りボールの支配率が高くなった琉球が何度もチャンスをつくる。0―1の後半4分、CKからシュートを狙う間にPKの好機をつかみ、MF富所悠が前節に続くPKでの同点弾を決めた。同44分には、DF藤澤典隆がドリブルで一気に駆け上がり、カウンターで逆転ゴールを決めた。(崎原有希)

◆攻め切ってこいとげき

 金鍾成監督(FC琉球)の話 前半の入りからもっと積極的にいければ良かった。後半に入る前に攻め切ってこいと、げきを入れた。勝ち点3を取らないと上にいけない。ここからの引き分けは負けに等しい。勝ち切っていかないといけない。ホーム戦での逆転勝ちは結果としてはうれしい。

◆体力を消耗するゲーム

 森岡隆三監督(鳥取)の話 相手のミスで点が取れて主導権を握れたが、前半のけがの交代が痛かった。琉球はボールを動かすのがうまく、押し込まれる時間が多くなることも想定していた。体力を消耗するゲームで、前半は選手交代を控えたかった。

◆藤澤、駆け上がり千金弾/もぎ取った、待望勝ち点3

琉球―鳥取 後半44分、左サイドを攻め上がったDF藤澤典隆が勝ち越しのゴールを決める=25日、県総合運動公園陸上競技場(大城直也撮影)

 後半終了間際の決勝点で、欲しかった勝ち点3をもぎ取った。ホーム戦は4月1日以来の勝利となったFC琉球。後半44分、中央のMF知念雄太朗からパスを受けたDF藤澤典隆が左サイドをドリブルで駆け上がり逆転弾を決めた。

 「ミスを自分で取り返せたのが大きかった」と、藤澤が珍しく感情をあらわにしてガッツポーズ。第1子誕生後初ゴールとなる同点弾を決めたMF富所悠らと共に両手をゆらゆら揺らす「揺り籠ダンス」で喜びを表現した。富所は藤澤と抱き合い「ありがとう」と伝え、会場も沸いた。

 リーグの中では、ボールの支配率が高いチーム同士の対戦で、序盤は「奪った時に得点できるようにする」(金鍾成監督)とポゼッション(ボール保持)は鳥取に譲った。しかし17分、藤澤の判断ミスから失点。1点ビハインドになってからは普段通りボールを動かし、何度も好機をつくるも得点できない時間が続いた。

 ハーフタイムに「リスクを恐れずに積極的に」と指示を出した指揮官。PKをきっちり決めた富所に加え、DF西岡大志が後半途中から入ったことで守備陣のバランスが取れ、サイドバックの藤澤の位置が上がったことで攻撃に厚みが増し、逆転を演出した。終了間際での勝利に金監督は「90分最後まで期待の持てる選手だ」と藤澤に対し太鼓判を押す。暑さの厳しくなる夏に向けて、琉球の勢いは増していく。(崎原有希)