「偏見へ 無関心許されず」 沖縄ヘイト、事例語る


この記事を書いた人 琉球新報社
アイヌ遺骨返還問題の経緯や、自身の被差別体験などを報告する清水裕二さん(右)=1日、札幌市の北海道大学

 【札幌市で宮城隆尋】日本平和学会の春季研究大会が1日、札幌市の北海道大学で開幕した。「琉球(沖縄)とアイヌに対する差別の現状と課題」をテーマに開かれた分科会で、アイヌ遺骨返還訴訟の受け皿団体「コタンの会」の清水裕二代表、ジャーナリストの安田浩一さんらが登壇した。アイヌ遺骨返還問題の経緯や沖縄に対するヘイトスピーチの事例などを報告し、参加者と意見を交わした。

 清水さんは人類学者により持ち出され、北海道大などで保管されているアイヌ遺骨について「政府は返還する方針を示したが、北海道白老町に造られる『民族共生の象徴となる空間』に集約し、研究材料として使ってから返すのだろう。遺骨はコタン(集落)の土に返すべきだ」と批判した。

 安田さんは「メディアや政治家が偏見をあおったこともあり、アイヌや沖縄へのヘイトが広がった。無関心は許されず、多数派(の日本人)一人一人が偏見と闘うべきだ」と強調した。

 琉球新報の宮城隆尋編集委員は戦前、人類学者らが今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓などから琉球人の遺骨を持ち出した問題を巡り、松島泰勝龍谷大教授を中心に返還を求める動きがあることを報告した。日本平和学会の春季研究大会は2日まで。