給付奨学金 1学年に数百人規模 沖縄人材政府支援


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 鶴保庸介沖縄担当相は4日の閣議後会見で沖縄の人材育成に関する支援策を示し、専門学校への進学者を対象に返済不要の給付型奨学金を創設すると発表した。下宿の有無などに応じ月額2~4万円を支給する政府の給付型奨学金と同様の制度設計となる見通しで、対象は1学年当たり数百人規模を見込んでいる。

 このほか観光分野の社会人向けに教育プログラムの実施などを盛り込んでおり、内閣府は関連予算数億円程度を来年度予算に向けた概算要求に反映させる方針。

 支援策は(1)沖縄独自の奨学金創設(2)小学校~大学までの教育(3)社会人の人材育成-の三つが柱で、進行中の事業も含めてパッケージとして示し、沖縄振興の中に人材育成の必要性を位置付けた。子どもの貧困対策から社会人教育充実までを視野に入れ、世代を超えた貧困の連鎖を断ち切ることに重きを置く。

 給付型奨学金は政府が来年度から全国で本格導入するほか、県にも県外の難関大学の進学者向けに支援する制度などがある。県内では専門学校への進学率が高いことから、内閣府が既存の制度を補完する形で、主に主要産業の観光や情報通信分野の専門学校生を対象に創設を決めた。

 離職率が高いとされる宿泊業や飲食サービス業の待遇改善を課題として、社会人向けに琉球大、名桜大などと連携し経営ノウハウを学ぶ研修や語学講座を設置する。修了証発行や表彰制度といった観光分野の職に“箔(はく)”を付ける施策の導入も盛り込んでいる。