【りゅうPON!活用】沖縄戦体験者の声 向き合う 犠牲者に平和誓う「慰霊の日」


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沖縄アミークス 上江洲ジョアナかおる教諭

 沖縄アミークスインターナショナルの上江洲ジョアナかおる教諭は5月30日、県内小中高・特別支援学校に配布された「りゅうPON!特別版」を題材に、同校で授業を行った。6年生約20人は、戦争体験者の野原清子さんの話や沖縄戦に関する記事を読み、付属の問題を解いて知識を深めた。ワークシートも児童らで作成し、発表し合った。

 黒板に書かれた6月○日という日付け。「ここにはどんな数字が入るでしょう」と上江洲教諭が児童らに問い掛け、授業が始まった。「23日」「慰霊の日」などとすぐに声が上がったが、何のためにつくられた日なのか問い掛けると、児童らは悩んだ。「沖縄戦が終わった日」ということを確認し、当時アメリカで発行された新聞や日本の新聞を見せ、日本とアメリカが戦っていた時の様子を想像した。

 次に上江洲教諭は、りゅうPON!特別版1面の沖縄戦までの道のりがまとめられた記事を音読し、2・3面は個人のペースで読み進めるよう指示した。児童からは「清子さんが戦争で逃げ回っている話が載っていた」「お兄さんを置いていったとか、かわいそう」などの感想が挙がった。新聞を読んだ後は、グループで特別版付属のワークシートに取り組み、さらに読み深めた。
 

新聞を読み込み、話し合う児童ら=5月30日、うるま市

 ワークシートを終えた後、「皆さんも新聞記者になったつもりで、ワークシートを作ってもらいます」と上江洲教諭が呼び掛け、グループ別にワークシートの対象年齢を決めて、問題作成に取り組んだ。児童らは漫画のイラストから表情を読み取る問題や、グラフからパーセンテージを求める問題など、年齢に応じた多様な問題を作った。

 大人向けの問題を考えた沢紙未梨凜さん(11)は、「沖縄戦でいっぱい人が亡くなっていてびっくりした。日本がハワイの真珠湾を攻撃したなど、沖縄戦までの流れが分かった」と満足そうに話した。
 

児童らが作成したワークシート

狙い

 新報小中学生新聞「りゅうPON!」に掲載されている「甲斐崇先生と学ぼう!レッツチャレンジNIE」というワークシートをよく知らない子が多い。一緒にワークシートを使って何が書いてあるのかを知り、自分たちで問題を作成することで、新聞を深く読ませる。

 

進め方

1.6月23日が何の日か確認
 6月23日が何の日なのか確認する。当時のアメリカで発行された新聞なども見せ、アメリカから見たアジア・太平洋戦争についても考えさせる。

2.1面を音読し、漫画と2・3面は黙読
 先生と児童で1面の「りゅうちゃん」と「石がんとーさん」の役を分け、音読する。後の記事は個人のペースで黙読させ、児童の感想も聞き出す。

3.付属のワークシートを解く
 グループで話し合いながら、付属のワークシートの問題を解かせる。

4.グループごとにワークシートを作成、発表する
 1~4年生、大人を対象に児童らで設問を考え、ワークシートを作成する。出来上がったワークシートの工夫点などを発表する。
 

実践者の一言

 問題を児童らに作らせることで、普段は目を通さない部分までしっかり読み込む。子どもたちはクイズが好きなので、楽しみながら取り組んでくれると思った。実際、対象年齢などを意識して言葉を簡単にするなど、各グループで工夫をしているところが見られて良かった。