街の死角 地図で可視化 沖縄市、認知症不明捜索に活用


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
歩きながら行方不明者を捜索する模擬訓練の参加者たち=6月11日、沖縄市内

 【沖縄】認知症行方不明者の救済活動に取り組む沖縄ハンズオン(北谷町)は6月18日、捜索時などに役立てるため、街中の死角となる場所をまとめたハザードマップ作りを沖縄市産業交流センターで開いた。参加者は11日に沖縄市の越来と海邦の両地域で実施した模擬訓練で集めた情報を基に、地図上に死角になりやすい場所の写真を貼り付けるなどして安全な街づくりへの意識を高めた。

 作成した地図には、公園や階段下などの写真を貼り、横に「街灯が少なく、夜になると雰囲気が変わる」「人目に付きづらい」「寒さがしのげる」など場所の特徴も添えた。イベントでは、行方不明者の性格や年代、性別なども考慮して探すことが発見につながることを共有した。

 11日の模擬訓練は、複数人が認知症で行方不明になり、街を一人歩きしていることを想定して実施した。参加者約200人は電話連絡で情報共有するアナログ班と、スマートフォンの情報共有アプリなども駆使するデジタル班に分かれて捜索。行方不明者が20メートル以内に入るとアラームが鳴る受信機も身に付けて歩いた。

 参加したコザ高校3年の比嘉花依音(かいね)さん(17)は「普段から少しでも意識するだけで視野が広がることが分かった」と手応えを感じた様子。認知症だった母を10年間介護した経験を持つ稲嶺初江さん(82)は「自分たちもいつ認知症が発症するか分からない。みんなで気付き、声を掛けられる地域になってほしい」と訴えた。

 イベントの司会を務めた沖縄ハンズオンの宮里ジュンさんは「入りやすく、見えにくい場所は、実際に歩いてみて分かる。参加者の心の中にマップができれば、普段からそういう場所に目が届くようになる」と効果を期待した。

街中の見えにくい場所などをまとめたハザードマップの一例