「チャーン」保存へ うるま市でシンポジウム


この記事を書いた人 大森 茂夫
チャーンの未来について話し合われたパネルディスカッション=うるま市仲嶺の市生涯学習・文化振興センターゆらてく

 【うるま】沖縄県指定天然記念物「チャーン」保存委員会と全沖縄チャーン愛好会はうるま市仲嶺の市生涯学習・文化振興センターゆらてくで6月24日、「琉球王国とチャーン」シンポジウムを開いた。

 青山学院大学の矢野晋吾教授が「『文化財』としてのニワトリとその保全」と題して講演したほか、又吉賢光チャーン保存委員会会長と又吉章盛チャーン大会審査委員長がチャーン保存の現状や古典音楽との関係を話した。

 講演では、文化財保護法に基づき国の天然記念物に指定された17種類のニワトリを、人間の食の対象であることも含めて「天然記念物に指定されているユニークな『文化財』」と紹介。ニワトリは、理想の姿を求めての交配など愛好家の努力で現在の姿を保っているとした。

 一方、人間と関わりが深いため、保全活動に行政などからの援助を得にくいことや、分布の把握が難しいことなどの問題点が挙げられた。

 矢野教授は「チャーンとは何か、遺伝子レベルに加えて愛情のかけ方や文化などから育てている市民が地元の誇るべきチャーンをどのように残すべきか考え、合意していくことが今後問われている」と話した。

 パネル討論では、チャーンの鳴き声を地域の文化として根付かせることや地元のラジオ局の時報をチャーンの鳴き声にすることなどが提案された。

 ニワトリが大好きだという仲村美優さん(15)=南部農林高校1年=は「高校の先生にも話を聞き、もっと詳しく知りたいと思った。自分でも育てながらチャーンの文化を広げていきたい」と話した。