自分見つめ直し、ソーシャルイノベーションのノウハウ学ぶ


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 Ryukyufrogs9期生は7月9日、社会に革新をもたらす「ソーシャルイノベーション」に関する研修を行った。自分の興味関心をもとにしながら、社会課題解決の既存の事例を学ぶことが目的。講師にソーシャルイノベーションを起こすためのシンクタンク・NPO法人ミラツク代表理事の西村勇哉さんを迎えた。講話やワークショップで、今後、社会課題に取り組む姿勢や基盤づくりを楽しく体感し、今後各自が取り組む課題設定のノウハウを学んだ。

 社会課題を40種に分けたカードから自分が気になるものを選ぶワークショップで、田村歩葉さん(宮古高等学校3年)は「地域の食文化の衰退」のカードを選択。「おばあちゃんたちが出す料理っておいしい。でもそれが廃れていくのはもったいない」と話した。

 川満歩貴さん(琉球大学工学部情報工学科3年)は「地域と都市のIT機器活用の格差」を選び「IT技術は人々みんなが使えていないと意味がない」と問題意識を語った。

 その他に、自分の関心の原点を探すインタビュー、仲間との信頼関係をつくる目的のフィードバック、直感力を鍛えるコラージュ作りなどを通して、それぞれが自分の関心や互いの問題意識へ共感し、洗練させる作業を行った。

 最後の振り返りの時間では多くのメンバーが「自分を掘り下げる機会となった」と感想を語った。

 鶴町理乃さん(宮古高等学校1年)は「Frogsは『IT×○○』と掲げているが、自分はSNSなどではない現実のつながりを重視していることに気づいた。コラージュ作りで他のみんなと比べると、斬新さを選ばす安定したがる傾向にもあるから、無意識のうちに自分の殻に閉じこもっていると思った」と自分を見つめ直した。

 次回の研修は、これまでの学びの研修を生かし、今後半年にわたって各自が取り組む課題を設定する。

◆講師・西村勇哉さんの話(NPO法人ミラツク代表理事)

 ソーシャルイノベーションが浸透してきたのはこの5年くらい。
市民セクターだけではなく、企業セクターにもソーシャルイノベーションの考え方が広がってきた。震災後、「社会にとって価値のあることを」という考えで、ビジネスとして関わる動きが広がっている。

 私たちは30都道府県で同じような取り組みを行っている。他県の事例をみていると「ビジネスプランコンテスト」など単発的なイベント、参加者に瞬発力を求める取り組みが多い。行政が主導すると、どうしてもリターン(見返り)を求めがちになる。たとえば「参加者のなかから何人が実際に起業したか」など。

 昨年度、民間の取り組みとして進めているRyukyufrogsの取り組みを知り「何かしら関わりたい」という思いで、話し合って今回の研修に行き着いた。中学生から受け入れ、半年間、毎週研修をするため、本当に人材育成として価値がある取り組みだと思う。