保守層が「オール沖縄」離れ 那覇市議選、公明など中立系が存在感


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 2018年11月に想定される沖縄県知事選や那覇市長選の前哨戦に位置付けられた那覇市議選は、名護市辺野古の新基地建設に反対する翁長雄志知事を支える市政与党の「オール沖縄」勢力が、自民など野党の議席を上回り多数を維持した。ただ、改選前の過半数を割り込むなど、オール沖縄勢の求心力低下は否めない。翁長知事の後継である城間幹子市長の市政のかじ取りにも影響を与えることは確実だ。

 新風会の議席減は保守層のオール沖縄離れを意味し、市長を4期務めた翁長知事のお膝元である那覇市での求心力低下にも直結する。仮に2期目の出馬を目指す上でも厳しい現実が突きつけられた。ただ今回の選挙では自民がオール沖縄との対決姿勢を鮮明にした半面、与党側は一部の政党を除き、オール沖縄を前面に出さない従来の選挙戦を展開した。結果は冷静に総括する必要がありそうだ。

 市政の奪還を目指し14人の候補者を擁立した自民は、議席は伸ばしたものの引き続き少数野党となる。18年末までには行われる衆院選の沖縄1区の戦いにも影響しそうだ。

 城間市政は、中立の立場を取る公明党との連携が今後の鍵を握る。しかし名護市辺野古の新基地建設を巡って立場が異なる中、連携は容易ではない。名護市長選をはじめ、波乱含みとなっている。

 オール沖縄も火種を抱える。今回の選挙では、共産党が議席を伸ばし、与党内の最大会派となった。議長選出などで共産が主導力を発揮すれば、オール沖縄を構成する一部の保守層や他の革新政党からの反発も予想され、今後の選挙においても共闘にほころびも生じかねない。

 城間市政1期目の評価と位置付けられる選挙戦だったが、大きな争点がなく、政策論争に欠けた。翁長前市長時代の政策の継続も多く、候補者からは「城間市政の色が見えず評価の判断ができない」との声も上がった。それが「是々非々で判断する」とした中立系の当選が多い一因ともいえる。

 今後、市政運営を進める際には、キャスティングボートを握る中立系の支持が必須だ。中立系が多い議会構成を機に、政策が活発に議論できる場になることも求められる。
(吉田健一、田吹遥子)