オクラ乾燥で販路拡大 KSファームと島酒家共同開発 長期保存で県内外出荷


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乾燥オクラをPRする(左から)島酒家の石黒新海社長と、KSファームの島袋勝博社長=12日、名護市

 名護市の農業生産法人KSファーム(島袋勝博社長)と、沖縄産食材を使った加工食品を製造する島酒家(石黒新海社長)は、乾燥したオクラをパック詰めした商品「沖縄県産乾燥オクラ」(15グラム、320円、税抜き)を開発し、県外を中心に販売を始めている。

 夏場は全国的にオクラの生産量が増え、供給がだぶつき市場相場が下がる傾向があった。長期保存ができ、加工用に回せるようになり、島袋さんは「安心して生産拡大ができる」と、農家の所得増加に期待を寄せる。

 乾燥オクラはKSファームで収穫したものを、加工施設を持つゴーヤーパークで細かく切り、乾燥させる。加工済みのオクラを島酒家で最終加工して、販売している。栽培に除草剤を使っていないことをPRし、水に戻してスープやサラダなどでの活用を提案している。

 6月中旬から販売を始め、現在は県外の生活協同組合や高級スーパーの成城石井などで販売。県内では御菓子御殿各店で販売するほか、9月ごろから量販店で販売される見通しだ。島酒家では初年度、乾燥品を1・5トン(生換算で15トン)出荷する予定で、5年後には5倍の7・5トンを目指す。

 オクラは、ほぼ1年を通して出荷できる沖縄でも、生産量が増加する夏場は収穫やパック詰めなどの作業が間に合わず、商品化から漏れる品も出ていた。島袋社長は「加工用なら細かくパック詰めしなくてもよく、作業効率が上がる。曲がったりして規格外となったものも活用できる。安定した単価で経営の見通しも立てやすく出荷を気にせず増産できる」と期待した。

 島酒家では乾燥オクラを使った即席スープなどの開発にも取り組み、商品数を広げていく。石黒社長は「ほかの農産物と組み合わせることで、乾燥品の需要は広げられる。活用の幅を広げたい」と語った。