「苦悩は沖縄と共通」 パレスチナ医師、軍の重圧を指摘


社会
この記事を書いた人 平良 正
パレスチナの現状について講演するサリム・アナティ医師=15日、那覇市国場の沖縄大アネックス共創館

 パレスチナ問題への理解を深めようと、沖縄大学地域研究所は15日、東エルサレムの難民キャンプを拠点に医療活動を続けるパレスチナ人のサリム・アナティ医師(57)の講演会を、沖縄大学アネックス共創館で開いた。約70人が聞き入る中「これ以上、殺害や苦悩はいらない。次の世代にとって平和が一番大切だ」と語り掛けた。

 地図を示し、イスラエル建国や第3次中東戦争などで領土が失われていった歴史を解説。イスラエルがパレスチナ人を分離する壁やフェンスを建設し、あちこちに検問所を置いている現状を伝えた。

 イスラエル軍の攻撃によってけがを負った子どもたちや若者の写真をスクリーンに映し出し「若者が殺害され、家屋が壊される。私たちが欲しいのは、人間としての普通の生活だ。世界にパレスチナ人として認められたい」と訴えた。

 「沖縄は米軍に、パレスチナはイスラエル軍の存在に苦しんでいる。沖縄とパレスチナには共通の苦悩がある」と指摘。「沖縄で見たことは非常に意義深く、エネルギーをもらった」と語った。16日は那覇市若狭の不屈館で講演会を開く。