海外客救急、未収金827万円 県内病院への患者急増


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二

 県医師会(安里哲好会長)が県内救急病院を対象に外国人観光客の患者の受け入れについて調査したところ、今年3月までに診療費を支払われないケースが少なくとも21件あり、未収金の合計額が約827万円に上っていることが16日までに、明らかとなった。背景には外国人観光客の患者数が増え続ける一方で、外国語への対応など受け入れ体制が追いつかず、医療現場の負担も年々増大している現状が浮かび上がった。県医師会は今後、個人開業のクリニックなどにも聞き取り調査を進め、県に対応を求めていく。

 医師会の調査は今年2~3月にかけて、県内の救急告示病院27施設を対象に実施し、19施設から回答を得た。そのうち5施設で未収金が発生し、多い施設では未収金となった事例が12件に上った。急性大動脈解離の診療によって500万円以上が掛かったが、支払われなかった事例もあった。

 19施設で外国人観光客の急患を受け入れた人数は、13年度351人だったのに対し、15年度は4・25倍に当たる1492人に急増した。外国人の入域観光客数が過去最高の212万人となった16年度の受け入れ件数はさらに増加している可能性が高い。

 受け入れた施設から診療後の決済時のトラブルとして「高額となり、現金・クレジットカードでの決済ができなくなるケースがある」「言葉の壁。コミュニケーションが取りにくい」「無断帰宅で連絡が取れない」などが上がった。

 県医師会の城間寛理事は本紙に「さまざまな問題が出てきて、現状ではすべて病院側が対応している。観光立県の施策を進める中で影響を受けているので、県は相談窓口を設置するなど、カバーする仕組みをつくってほしい」などと語った。