京唐紙でアロハシャツ  「パイカジ」が京都・唐長と 伝統技とのコラボに注目


この記事を書いた人 大森 茂夫
パイカジのリゾートファッションと京都の老舗工房・唐長のコラボシャツを完成させたジュネの吉田康秀社長(右)と吉田琴子常務(左)=15日、豊見城市のジュネ

 「PAIKAJI(パイカジ)」ブランドのリゾートファッションを手掛けるジュネ(豊見城市、吉田康秀社長)が、京都で400年にわたって「京唐紙」の製作を続ける老舗工房、唐長(からちょう)(京都市)とコラボした唐紙アロハシャツを完成させた。職人の技を集めた完全受注品は価格120万円の超高級仕様。6月23日から先行販売した京都伊勢丹でのお披露目では地元メディアや業界紙に取り上げられるなど、異色の組み合わせが注目を集めた。

 複製版のオリジナルプリントシャツも作成し、20日から国際通りの店舗と、東京の銀座和光の企画「パイカジアロハコレクション」の特別商品として販売する。吉田社長は「伝統工芸のエッセンスを崩さず、ファッションとして成立する。京都と沖縄の融合は、特に欧米のファッション通にセンセーショナルな出来事として受け止められると思う」と語った。

 唐紙は、木版を和紙に手刷りして文様を写し取った加工紙。1624年に創業した唐長の唐紙は、桂離宮や二条城のふすま紙や壁紙にも使われている。

 イタリアで開かれる世界最大級の服飾見本市「ピッティ・ウォモ」に出展を続ける吉田社長が、海外にも通用する「プレミアムでモダンなシャツ」の企画を模索し、クリエーティブディレクターの土江真樹子さんを通じ、唐長12代当主の千田誠次さんとつながった。

 コラボシャツのデザインは、唐長の伝統文様で幾何学的な「角つなぎ」を採用し、布地は有機栽培の麻100%で琉球藍の色合いを基調とした。和紙作家の明松政二さん、テキスタイルデザイナーの須藤玲子さんの協力を得て、唐紙の特徴である「キラ(雲母の微粒子)」をすき混んだ和紙を布に貼り付け、角つなぎの文様を残す特殊な技法によって世界に1枚だけの布を完成させた。

 出来上がった布は、国内でも高い縫製技術を誇るリオ・ビアンコ(福島県)が手縫いを交えてシャツに仕上げた。ボタンは沖縄の伝統工芸を用いるこだわりで、壺屋焼に代表される陶器製と、琉球漆器の職人による漆製の2種類を製作。陶芸は安里貴美枝さん、琉球漆は森田哲也さんの県内の職人が手掛けた。

 ジュネの吉田琴子常務は「『角つなぎ』は江戸時代から男性に好まれた文様で、つながり合う意味。伝統を重んじる工房と組むことは大きな挑戦だが、今後も継続したい」と話した。

 オリジナルプリントシャツは4色を限定生産。半袖、長袖があり、価格は4万5千~4万9千円(税別)。(与那嶺松一郎)