視野を簡易測定するシステム開発 特支校などで活用 沖縄高専


この記事を書いた人 大森 茂夫
視野の範囲を確認できる「視野疑似体験システム」の開発を進める佐竹卓彦氏(右)と城間康介さん=13日、名護市の沖縄高専

 沖縄工業高等専門学校の情報通信システム工学科が、特別支援学校の児童生徒の視野を簡単に測定できる「視野疑似体験システム」を開発した。同学科が独自に製作した機器とアプリケーションを使って、児童生徒が普段の生活で見えている範囲を明示化する。それを教員らが把握することで、授業などでの指導に役立てることが目的。同学科は「沖縄発の支援機器として発信していきたい」と意欲を示している。

 視野の範囲を正確に把握するためには眼科などで専門の機器を使う必要があり、これまで児童生徒が測定を受ける機会は少なかった。専門の機器を使用する際は長時間、同じ姿勢を保つ必要があることから、車いすを使っている子どもらは測定が難しくなるケースもあった。重複障がいの子どもたちは視野に障がいがある例もあり、特定の方向が見えにくい場合があった。特支校から「子どもたちの視野を把握するための機器が欲しい」との要望があったため、同学科は6年ほど前からシステム開発を始めた。

 同システムでは、円弧状の機器の内側に発光ダイオード(LED)を配置し、上下左右などさまざまな角度からLEDを点灯させて、測定を受けている人がどの範囲を見えているか確認する。機器は可動式になっていて、車いすや横になったままの状態など、さまざまな姿勢に対応できる。測定で得られた視野の範囲は、アプリケーションを利用して端末に表示される。

 同学科の神里志穂子准教授は「手軽に使える支援機器で、多くの人に役立てることができる」と説明する。沖縄高専技術室の佐竹卓彦氏は「子どもたちの視野を把握することで、普段の生活をより良い方向に変えることができるはず」と期待を込めた。

 開発に関わる同学科5年の城間康介さんは「簡単に持ち運べて、どこでも視野の測定ができる。将来的には高齢者ドライバーの視野測定にも活用したい」と目標を掲げた。(平安太一)