識名トンネル 知事に元部長らへの7000万円請求命令 那覇地裁


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 識名トンネル建設の虚偽契約問題で、沖縄県民11人が国への補助金返還額のうち利息分の約7178万円を仲井真弘多前知事や、元県幹部らに返済させるよう翁長雄志県知事に求めた住民訴訟の判決で、那覇地裁(剱持淳子裁判長)は19日、元県土木建築部長の漢那政弘氏と元県南部土木事務所長の赤嶺正廣氏の2人に全額を請求するよう命じた。県は控訴の方向で検討している。

 判決では赤嶺氏に対し、既に終わった工事の工期を偽った第1契約(工事1件)の締結に積極的に関わり、支出負担行為について権限を有していた第2契約(同5件)についても責任があったと認定。漢那氏に対しては、第1契約の予算執行伺の決裁権者であり、赤嶺氏の行為を阻止すべき注意義務があったと指摘した。

 仲井真前知事については指揮監督義務違反はなかったとして訴えを退けた。工事業者についても、契約によって補助金返還などの損害を予測できたとはいえないとして棄却した。

 識名トンネル建設工事は、2006年に大手ゼネコンと県内2社の共同企業体(JV)が47・2%の低落札率で受注。県は工事途中で新たに必要となった費用を、工事終了後にこれから施工するように偽って追加で6件の随意契約を結んだ。沖縄総合事務局は12年3月、県に補助金返還を要求し、県は補助金交付時からの利息分を含む約5億8千万円を返還した。

 原告の北上田毅さんは、提訴から4年半以上が経過しての判決に「巨額の損害が発生している。県はいたずらに争うのではなく、早急に決着をしてほしい」と話した。

 仮に県が控訴せず判決が確定した場合、県は確定から60日以内に漢那氏と赤嶺氏に損害金の支払いを請求しなければならない。