玄米、依存症を緩和 琉大医学部研究 肥満改善にも期待


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
論文の掲載が決まったヨーロッパ糖尿病学会誌「ダイアベトロジア」8月号を手にする琉球大の益崎裕章教授=19日、琉球大医学部

 琉球大学医学部第2内科の研究で、玄米の機能成分である「γ(ガンマ)オリザノール」が動物性脂肪に対する依存性や嗜好(しこう)性を緩和することが分かり、論文がヨーロッパ糖尿病学会誌「ダイアベトロジア」8月号の表紙で紹介されることが決まった。γオリザノールが脳内のゲノム修飾(エピゲノム)によって、依存性を和らげる機能を持つことが明らかになったのは初めてで、肥満などの生活習慣病の改善に役立つことが期待される。研究チームは今後、アルコールやギャンブルなど、他分野での依存症緩和への研究を進める考え。

 γオリザノールは玄米を構成する米ぬか特有の成分。琉球大から米ハーバード大ジョスリン糖尿病センターに留学中の小塚智沙代医学博士らが中心となり、動物性脂肪を与えて肥満させたマウスや培養脳神経細胞を用いて研究を進めた。

 研究でγオリザノールが食欲中枢の視床下部に作用するほか、食事のおいしさや満腹による幸せ感を受け取るドパミン受容体を高める機能があることを明らかにした。依存による「満足できない脳」を、γオリザノールによって、喜びや満足を得られる脳に変える機能を持つことが解明された。

 論文の責任著者となった琉球大医学部の益崎裕章教授は、動物性脂肪が麻薬をしのぐ依存状態に達することを指摘。「食欲は人間の根源的な欲求で、強制的に食べないようにすることを考えて薬がつくられたりしたが、失敗に終わっている。玄米は昔から食べられてきたものであり、その安全性は十分に保証されている」と述べ、玄米による肥満対策を進めていくことの意義を語った。

 研究結果を得て、同大学では玄米の成分を凝縮したサプリを開発中で、秋に臨床実験を始めた上で来夏の発売を目指している。