沖縄県内障がい者施設の3割、心身の負担増 防犯や夜勤に不安 相模原殺傷1年で本紙調査


この記事を書いた人 平良 正

 神奈川県相模原市の知的障がい者施設「津久井やまゆり園」での殺傷事件(相模原事件)から26日で1年となる。琉球新報は25日までに、沖縄の障がい者施設にアンケートを実施し、事件後に組まれた防犯対策などの予算活用状況や職員研修の実態を尋ねた。回答では県内の障がい者施設のうち28%の施設が事件後に精神的・肉体的負担の増加を感じているとし、事件の衝撃や影響が続いていることが浮き彫りとなった。

 事件後、職員に対し防犯や虐待防止に関連する研修を実施した施設は69%に上り、約2割の施設が国の補助金を活用し防犯カメラやフェンスの設置・修理など防犯設備を強化したと回答した。

 アンケートは長期入所・短期入所施設含む県内99施設へファクスで送信し、約5割の52施設から回答を得た。事件後の防犯対策などの予算活用状況や職員研修の実態、課題など8項目を尋ねた。

 事件後に精神的・肉体的負担が増えたと感じる施設は28%で、増えていないと回答した25%を上回った。負担が増えたと答える施設の半数は「夜間配置職員数は日中より少ないため対応困難になるため不安」「夜勤職員の精神的負担の増加」など防犯面や夜勤時の不安を挙げた。背景には慢性的な福祉従事者不足とそれに伴う職員のストレス過多があるとみられる。自由記述では「人材不足」や「職員の心身ケア」といった課題を挙げる施設が多かった。

 職員に行った研修の内容は警察官や警察署員を招いた防犯研修が最も多く37%で、自治体や交番と連携確認をした施設もあった。

 事件を受け国は2016年度補正予算で、非常通報装置や防犯カメラ、フェンスなどの設置・修繕費用を盛り込んだが、活用した施設は約2割にとどまった。活用しない理由としては、防犯カメラなどの設置で施設と地域との間に大きな溝ができることを懸念するとの回答があった。施設の多くが「地域に開かれた施設」を目指す一方、「防犯強化」もせざるを得なく、相反する対応に悩んでいることが明らかになった。(宮城美和)