衝撃、苦悩今も 相模原殺傷事件1年 沖縄県内施設アンケート


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 神奈川県相模原市の知的障がい者施設「津久井やまゆり園」での殺傷事件から1年となることを受け、琉球新報が実施したアンケート調査で、事件後に障がい者入所施設が対応に追われている実態が明らかとなった。現場の深刻な人手不足による課題も山積する中、施設を運営する側は地域社会とのつながりを重視しつつも、事件によって求められる「防犯対策」との間で苦悩を深める。19人の尊い命が奪われた惨劇から1年を経てもなお、事件の衝撃は施設利用者や家族に暗い影を落としている。

◆利用者から「ぼくらは不要か」 偏見拡大を不安視

 本紙アンケートに答えた本島北部にある施設の職員は「ぼくらはこの世で不要な人間なのか?」と利用者に問われことを打ち明けた。利用者が今も1年前の事件に苦しみ続けていることを浮き彫りにするような出来事だ。

 アンケートによると事件後も、家族からの意見がなかったという施設は76%に上った。その中で「類似事件が起きるのではないか」との不安の声が利用者や家族から施設に寄せられていることが分かった。防犯システムの設置について確認されたり、警察との連携について問われたりした事例があった。ある施設は事件後、保護者会の依頼で、話し合いを持った。

 事件によって施設と地域との壁が生じるのではないかとの声も施設に寄せられた。「事件で外部に対し閉鎖的にならないでほしい」との施設側への注文が付いた。さらに「実行犯の考えに便乗するような情報の拡散や偏見の拡大」への懸念などが上がった。

 国が実施している非常通報装置や防犯カメラ、フェンスなどの設置、修繕費用への補助について、18%の施設が国の補助を利用して対策を講じた。

 しかし、補助の利用を検討した施設からは「募集期間が短期間で見積もりが間に合わなかった」「情報が確認できていない」との回答もあり、周知体制などの不備も浮かび上がる。また、カメラの設置について「防犯対策ではない上、開かれたイメージに逆行する」との意見もあった。