芸能・文化

Coccoと愛と20年 記念ライブ

 県出身アーティストのCoccoが12、14の両日、東京都の日本武道館で20周年記念ライブを開催した。初日の「一の巻」は初期~中期のバンドメンバー、2日目の「二の巻」は近年のメンバーと出演し、20年の歩みが刻まれた歌の数々を奏でた。ファンと「おめでとう」「ありがとう」と声を掛け合い、愛にあふれるライブとなった。(伊佐尚記)


伸び伸びと踊りながら歌うCocco=14日、東京の日本武道館(西槇太一氏撮影・提供)

みんな、ありがとう 一の巻

 クラシックが流れる中、Coccoは現れた。初日は初期~中期の曲が中心だった。デビュー曲「カウントダウン」を皮切りに「水鏡」「けもの道」と激しい曲を続けた。
 30分ほど歌った後、「こんばんはございます。Coccoです」と口を開いた。うれしくてたまらないのが声から伝わってくる。メンバーが互いに紹介し合い、プロデューサーも務めていたベースの根岸孝旨は「皆さんもいっぱい彼女に励まされたり泣いたりしたと思います。私がその代表です。われらが歌姫、Cocco」と照れくさそうに紹介した。続く「Raining」はアコースティックで優しく奏でた。
 Coccoは「活動を休止した時、事務所から(ファンに送る)ダイレクトメールのリストを盗んで逃げました」と告白。「いつもまとめて『みんな』としか言えないから罪悪感があった。ノートに全部書いて名前呼んだよ。ありがとう」と語り掛けると、観客も「ありがとう」と応えた。
 「風化風葬」の後、Coccoは「私たちはもう大丈夫な気がする。死んでもいいっていうところから生きてて良かったっていうところまで、みんなでよく来たね」と涙ぐんだ。「愛って一番の自由な気がします。この歌が終わったら今までで一番自由になれる気がする。みんなにもらう自由を大事にこれから生きていきます。身に余る素敵な人生をありがとう」
 最後の曲は「もくまおう」。歌い終わると、演奏が終わるのを待たずに舞台袖に走り去った。残ったメンバーが力強い演奏を聴かせ、つないだ手を掲げて観客に感謝した。

この歌を、ただ歌う 二の巻

 2日目は「焼け野が原」で始まった。活動休止前の最後のシングルだが、当時のどこに行ってしまうのか分からない不安感はもうない。
 「今まで『もう無理』っていう時に周りの大人は『逃げるな』って言った。自分は『逃げてもいい』って言える大人になりたかった。生きるためなら逃げたっていい。生きていたらこうして会えるさぁ」
 終盤、「Never ending journey」の前に「この歌がリハーサルから歌えなくて…ちゃんと解決したい」と立ち止まった。「この歌を最初に歌った時は自分の歌に力があると思っていた。『歌で元気になる』って言われたから、歌で山は動くかもしれないし、人は治るかもしれないって思っていた。でもどんなに頑張ってもかなわないことがある。自分の無力さに絶望してしまったから、この歌が歌えない」
 今回のライブではいくつかの客席に押し花のプレゼントを隠したという。しわしわの押し花をどう捉えるかを歌に例え、「歌が力になったなら、あなたの力がそうさせた。ここまで来られたのは力のある人に出会えたっていうこと」と感謝した。「だから、この歌をただ歌えばいいんだ。誰かのためでなく」。答えを見付けたCoccoは力強く歌い上げた。
 最後の曲は最新のアルバムに収録された「有終の美」。初日とは対照的に、メンバーが帰ってもCoccoは最後まで舞台に残り、名残惜しそうに去っていった。