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島トウガラシやナス、ピーマンなどナス科の果実に寄生し腐敗させる外来種の害虫・ナスミバエの発生地域が沖縄県内で拡大し、2016年度の調査では前年度から11市町村増えて過去最多の32市町村で31日までに被害が確認された。ナスミバエを引き寄せる効果的な化学物質がなく、広域で発生した現状での防除は難しい状況だ。県はナスミバエが発生していない先島や県外へのまん延防止とともに、本年度から被害が大きいトウガラシ類で使える薬剤研究を進めている。
ナスミバエは東南アジア、台湾、ハワイなどに生息し、県内では1984年に与那国島で初めて発生が確認された。2010年には沖縄本島でも確認され、被害地域は徐々に拡大した。
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ナスミバエはナス科の園芸作物のほか、テリミノイヌホオズキという県内で広く分布する雑草にも好んで寄生する。ここ数年、沖縄本島を直撃した台風が少なく雑草の成育が阻害されなかったことも、活動地域が広がった要因とみられる。
最初に発生した与那国島では不妊虫を放つ手法で防除が行われ、11年に根絶したが、本島全域など広域での防除には膨大な数の不妊虫が必要となる。雑草にも寄生することから発生源を全て刈り取ることも難しいという。
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トマトやピーマンなどの県外にも出荷される農産物は施設栽培が中心でナスミバエ侵入を防ぐ取り組みが進み、農薬による一般的な対応で防除できることもあって大きな被害報告はない。ウリミバエ、ミカンコミバエなどのような植物防疫法による移動規制の対象とはなっていない。
だが、露地栽培が中心の島トウガラシなどの辛味トウガラシではナスミバエに有効な農薬もなく、被害が報告されている。県は「移動規制の対象ではないが、虫が湧いたとなると、県産品の印象が悪くなる恐れがある」と警戒しており、トウガラシの実が付いた苗や青果の未発生地域への移動自粛を呼び掛けている。
収穫後のトマトの果実残さなどにも産卵する恐れがあるとし、残さはビニール袋に入れて1カ月程度密閉するよう求めている。(知念征尚)