沖縄南方の海面水温が過去最高 7月平均値30・2度


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 沖縄気象台は1日、先島諸島付近を含む沖縄の南の海域において、7月の平均海面水温の速報値が30・2度で、1982年以来、7月としては最も高くなったと発表した。平年値を0・9度上回っており、専門家からはサンゴ礁の白化の広がりを懸念する声が上がっている。

 人工衛星とブイ、船舶による観測値から海面水温を解析。沖縄本島を含む東シナ海南部でも7月の平均海面水温は速報値で29・4度で、過去3番目だった。平年値の28・3度より1・1度高い。

 気象台は高温になった要因を、南シナ海付近の対流活動が活発な影響で、太平洋高気圧が平年より西に張り出し、沖縄地方を覆いやすくなったとした。このため沖縄周辺海域は日射量が多く、風も弱くなり、水温が高くなったとしている。サンゴへの影響が懸念されるほか、台風が発生した場合に威力が増す傾向があるという。

 環境省石垣自然保護官事務所の塚本康太自然保護官は「八重山では昨年、高水温でサンゴが大量に死んだ。生き残ったものへの影響も心配だ」と懸念する。30度を超える高水温が続くと白化を招くといい、「白化が大規模に広がるのではと非常に危惧している」と話した。

 サンゴ礁保全などを研究する琉球大学の中村崇准教授によると、暖められた海水は黒潮に乗って北上するため、今後沖縄本島周辺も高温になる可能性があると分析する。「本島周辺もすでに海水温は高めで、北部でもサンゴは白化し始めている」と指摘し、海水をかき回して水温を下げる効果がある台風の発生や進路を注視する姿勢を示した。

 県内は1日、久米島町北原で午後1時半に35・2度、同町謝名堂で午後2時52分に34・8度と2地点で観測史上最高を記録した。