子牛が8年ぶり増加 2016年度は3万624頭 県家畜改良協会まとめ


この記事を書いた人 大森 茂夫

 沖縄の肉用牛産業の主力となる子牛の2016年度の登記頭数が前年度比1・5%増の3万624頭となり、08年度以来8年ぶりに増加したことが5日までに、県家畜改良協会のまとめで分かった。沖縄は全国4番目の子牛産地。生産頭数の増加は全国から牛を買い付けに沖縄に集まる購買者にとって、産地の魅力向上につながるとして期待が高まる。

 子牛登記は和牛改良上、重要な血統などを証明する戸籍に当たる。「和牛」として産まれた子牛のほぼ全てが登記されている。

 県内の子牛頭数は配合飼料価格が高騰し、全国的に子牛が増加して飽和感が広まり、子牛の競り値が下がり農家経営の負担が高まったことを背景に、08年をピークに減少が続いていた。10年には宮崎県で口蹄(こうてい)疫が発生し、13年には米国の干ばつでトウモロコシ価格が再度高騰するなど子牛生産上の不安要因が相次いでいた。

 一方、口蹄疫や11年の東日本大震災を受け全国的に子牛不足感が高まったことを背景に県内の子牛相場は10年以降上昇に転じ、農家の生産意欲向上につながった。子牛の増産に欠かせない優良繁殖雌牛の導入・保留事業を市町村が実施し、15年度には繁殖雌牛の頭数が増加に転じていたことから、子牛の生産頭数増への期待は高まっていた。

 子牛の登記頭数増加について県家畜改良協会は「生産頭数の維持は産地形成上も重要な意味がある。母牛の分娩(ぶんべん)間隔が短くなるなど生産効率も上がっており、質的にも改善している」と感触を語った。

 県内8地区で家畜市場を運営するJAおきなわ畜産部は「肉用牛生産は特に離島地域で大きな産業の一つで、子牛頭数の増加は、県外から購買者を引きつけるいい知らせとなる。JAも子牛生産の減少が続く地域で繁殖経営への参画を検討しており、安定生産に取り組みたい」と語った。

 沖縄は子牛の取引頭数が約2万4千頭(14年度、以下同)と、鹿児島県の約6万9千頭、宮崎県の約5万1千頭、北海道の約3万6千頭に次ぐ全国4位の子牛産地。