17年版防衛白書 「米基地最大返還」を強調 辺野古の正当性主張


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 【東京】小野寺五典防衛相は8日の閣議で、2017年版防衛白書を報告し、了承された。沖縄関係では、米軍北部訓練場の過半返還を新たな項目として追加し、3ページにわたって地図や写真を掲載。コラムの見出しを「沖縄本土復帰後最大の返還」とするなど「返還」を強調した。米軍普天間飛行場所属のオスプレイの訓練移転、陸自木更津駐屯地の定期整備拠点化などを追記するなど、沖縄の基地負担軽減を前面に打ち出した。

 17年版白書は16年7月~17年6月の間の事柄が主に追記されている。

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設に関しては、16年版にもある「代替施設建設事業の推進」の項目に、昨年12月の違法確認訴訟についての記述を大幅に追加。最高裁が翁長雄志知事による埋め立て承認取り消し処分について「違法であるとの判断を示した」と明示するなど、国による工事推進の正当性を主張した。

 昨年12月のオスプレイの墜落事故については「不時着水事故」だとして、事故から飛行再開などに至る経緯を説明した。

 米軍属女性暴行殺人事件を受け、日米地位協定の対象となる軍属の範囲を明確化するため「補足協定」が締結されたことも記載した。

 中国を巡っては、自衛隊機の緊急発進が16年度は過去最多の851回になったことも加筆。その上で宮古島市、石垣市への自衛隊配備などを改めて記載した。

 16年3月に沿岸監視隊などが新編された与那国町の外間守吉町長によるメッセージコラムも設けられ、隊員の子どもたちが小学校に編入して複式学級が解消されるとして歓迎の言葉が並べられた。

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「2017年版防衛白書」のうち、沖縄関連の主な記述は次の通り

 普天間移設 名護市辺野古の代替施設建設は普天間飛行場の継続的な使用を回避する唯一の解決策で、沖縄の負担軽減に十分に資する。最高裁は翁長知事による埋立承認取消処分が違法であるとの判断を示した。

 オスプレイ 機体自体の安全性に問題がないことが確認された。不時着水事故は沖縄をはじめ全国の関係自治体及び住民に大きな不安を与える結果となった。

 地位協定 米軍属による殺人被疑事件を受け、日米両政府は実効的な再発防止策を策定すべく協議を行い、軍属の範囲を明確化するなどの日米共同発表を発出した。日米地位協定の軍属に関する補足協定が発効した。